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33:張り込みかっ?!

 それから工事現場の作業員に声をかけたが、恐らく猪又が原因なのだろう。角田工務店はお払い箱となり、他の会社が引継いでいるようだ。

 そんな訳で何一つ、これと言って有力な情報は得られなかった。


「聡さん、どうします?」

「……15年前の事件の被害者家族は、今どこでどうしているんだろうな……?」

「……ああ、確かに。考えられるケースとしては、出所してきたことを聞いた遺族が復讐したというのも……」

「アリバイを調べておくよう手配はしてある」


 和泉がふと顔を上げると、向かいから見覚えのある高校生3人組がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

 まるでチンピラのように肩で風を切って歩いているのは、確か周のクラスメートだ。


 そのすぐ後ろに追随している2人は名前を知らない。そして先頭のチンピラもどきはなぜか、顔を赤く腫らしていた。

 先日はそこに周の友人である篠崎智哉が加わっていたが、今日はなぜかいない。


「あいつ、マジでぶっ殺す……!!」

 ブツブツと不穏なことを呟きながら、その高校生は足元にあった小石を蹴飛ばした。


 小石は勢いをつけて宙を舞い、近くを通った車の横っ腹に当たった。

 運転手は気付いていないらしく、そのまま走り去る。


 和泉は電信柱の影にさっ、と身を隠す。

 怪訝そうな父の手を引っ張り、同じように姿を隠させる。


「何やってるんだ? お前」

「静かに!!」


 高校生の集団が段々とこちらに近づいてくる。


「おい鶴!! お前、あいつを呼び出せ」

「……でも、俺番号知らないし……?」

「……それぐらい調べろよ!! 愚図が!!」

 命令された嫌そうな表情で男の子が電話を耳に当てる。


「あ、シノ? 藤江周の番号、教えてくれない?」


 なぜそこに周の名前が出てくる?

 和泉は思わず彼らの前に出た。


「ねぇねぇ、君達。ちょっといい?」

「……いつかの……!!」

 トリオのうち1人は、和泉の顔を覚えていたらしい。

 こう言う者なんだけど、と警察手帳を出して見せると、ぎょっとした顔になる。


「君達、この近くに住んでるの?」

「え、えっと……」

「行くぞ!!」

 先頭のリーダー格が顎をしゃくる。

 和泉は彼らを追いかけ、先回りし、

「これ、見て。このオジさんの顔、見たことないかな~?」

 猪又の写真を見せる。すると。

 追随している2人の少年はさぁ、といって首を傾げる。

 しかし。先頭を歩いていたチンピラのような少年は、はっ、と何かに気付いたような顔をした。


「知ってるみたいだね?」

「知らね」

「……よく見てよ」

「知らないって言ってんだろ、おっさん!!」

 和泉は『おっさん』呼ばわりされるのが何よりも気に障るタイプだ。


「……今日は篠崎智哉君、一緒にいないんだね」

「……」

「そのほっぺ、どうしたの? せっかくのイケメンが台無しだよ。もしかしてあれかな、智哉君にムチャぶりして、藤江周君にキレられて殴られたとか?」

 思いついたことをスラスラと口に出してみたのだが。どうやらかなりの部分、当たっていたようだ。みるみる内に相手の顔が怒りに燃える。


 しかし、さすがに本物の警察官相手に罵声を浴びせる度胸はなかったらしい。

 チンピラのような少年は無言で去っていく。急いで後を追いかける舎弟が2人。


「聡さん、今の子……確実に猪又を知っている様子でしたよね?」

「そうだな」

「尾行してみます。周君のことも心配ですし」

「周君がどう関係してくるんだ……?」

「詳しいことは後ほど。聡さんは先に、本部に戻っていてください」

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