目1
緑1
目はおいしい。
とくに青い目はおいしい。
サァーとしてて、とてもおいしいのだ。
それはまるで野菜のようなリンとした感じで、
たしかに筋目がリンリンとなっているもの。
目のすじは流れ星のようにきれいなのだった。
彼女はそれを見て、腕を丸める。
それはまるで手に血がゆらめいているようで、
気付かないような瞬間瞬間の光がみるみると彼女の手とその手に握られている
目玉に刺されているみたいで、ぼくは急に
その手をはたき落としてみたいと思う。
彼女はその目に話しかける。
ポツリと裁断機のようにその目は言葉を投げかけられてひかり
目はトロンと伐採のように仰がれていた。
そして、そのトロンとした部分がナイフで切られるかのように、
少しずつ漿液は彼女の手の中をゆらぐようにみるみると満たしていく。
そして、血はゆらゆらとたしかに彼女のなかに断続しているのだ。
世界は赤と青をパンのように切り刻みながら回っていた。
風鈴のような速度と、うれるような明確の星の刻みが、
すこしずつ表面を増していき、ぼくはその増していく温度にゆらりと
ぞっとしてしまう。
まるでなにかを構築しているようなそのひびきと振動は、
めらめらとその温度となってとけていくみたいだ。
そして、ぼくの目はイメージをとけるように流れてくるのだった。
歌うような亡霊のようなそんなイメージ。
星は子供を抱いて、ゆるやかに今も回っているに違いない。
ぼくは時計を見て、それが8時であることを実感する。
ストレートにぼくは目まいを感じる。少しずつ歩むように、その星は
今も燃えるように酒などを飲んでいるにちがいないのだ。
ぼくは彼女の口にガムテープをしばる。
すると、そのガムのような部分が、少し酒でもあびたように
漿液のように赤に染まるのだ。それは、彼女らしい
染まり方だったけど、急に人形の腕の細い組み木のように、
浮気のような糸のゆれかたで、彼女の腕はじっとなにかをかかえているように、
ガムテープを貼られたばかりに、そんなふうになにもかかえず、
そのわりにはそんなことをしていたりしていた。
だから、
だから、やはり彼女はきれいではあるし、殺すべきなのかもしれないと、
どこかでささやくような声が、空気を伝って、脳の神経が空気中に
飛翔したように、あたりに青いビールのような印象が流れ出し、
音楽のような食べ方はぼくを急にとまどわせるような、そんな印象、
弾丸のような痛みのようなやわらかみのようなものがぼくの頭に刺さるような気がするけど、
それはノートにまとめた地図のように、足跡をかくすようなしぐさで
ぼくにやわらかくささってくれるので、その感情は打撃なのだ。
そして、ぼくはふところから、(かばんはちゃんとぼくの右のほうに
ポケットと間違えるくらいちゃんとそこにいつのまにか構築されている
ような建物もどきの殺意をもってそこに、場所を 絞めていた)
そのカバンは麻薬のような水を表面に光らせていることはたしかなので、
ぼくは全員なんでもかんでも死んでしまえばいいと、
切にそのカバンだけに祈りをこめて、封じる、といえばむしがいいだろうか?
ぼくは猟奇殺人鬼なので、物への、使うものへの魂に似た祈りは
そういうのは、けっこう気にするタイプなのである。
ストンと、目のような感じ。
メラメラとしてしまうような刺激を、そのカバンはぐらぐらと受け止めているみたいだった。
死ね。
ぼくはハサミを取り出す。
そして、彼女の髪を切ってあげるのだ。ゆらめくような白銀のような材質でできた、
ドームのようなその表面だけのゆらめきを、白くのこしているその材質は、
ハサミのように、いびつな成分を、残しているかのようだった。
ぼくはその一本を、ストンと、はさんでみるのだ。つ、と切る。
そして、ぼくはハサミを上にかざし、彼女の柔らかそうな髪に刺すのだ。
殻がやぶれたように血は出る。
ぼくはここらへんは慣れているので、大丈夫なのだ。
5人、6人と繰り返しているうちに、ぼくの頭にのこる印象は彼女の
髪の印象、まるで皮膚がある意味よみがえって、最後の赤を広告するそのとき、
髪はほどけて、ぼくはそれが、じつは視覚的には気味悪くうっすらとしている
のだけど、まあ、それが時計のような感覚で、けっこうそういうのは好き、
というか、髪にツウ、と、変な光と目が出てきているような、新鮮な感覚と、
その感覚がまるで首にでもまきつくような、じっさいイメージがぼくの首の
どこかに感触を残すような、そんな感じ。
赤はきれいだった。
鮮烈な赤はきれいだった。
赤はきれいで、青も、
脈々とエネルギーのようなどこかにいて手を振っているんだろうな、
とぼくは思い、腕のどこかが変にだるいような、
瘴気のような気持ち。
彼女はうたた寝をうたたねているみたいに、
ぐるぐるとそこらへんで、目を回して、
死体らしくしゃんとしていたので、ぼくは合格点を出してあげるのだ。
ずいぶんと、それらしくなっていた。
ぼくはパターンとして、右腕の皮は10枚に切り分けてあげるのだ。
ここらへんが、ぼくが追われてしまう原因なのかもしれないけど、
そんなことは窓のように、あのフレームのように、
鏡のように2枚のフレームのように、窓のそとの雨が
足音みたいにサクサクしていても、そんなのはとても窓らしく、
あまりにもいじらしいがゆえに霧の中のような、2、とでもいうような、
そんな感じなので、ぼくはどうでもよくなってくる。
血は、血の流れる場所はとてもきれいに配線をしっかりとべたべた
流れていて、ぼくはやっぱり人体がこわれるには、100%パターンがあって、
それを把握して、一つ一つこわしてみたいような、そんな気持ちになってしまったり
するのだった。
内側を見ると、(これは店員のようなそんな裏側の気持ちかもしれないけど)
ぼくはその人の内面も 機能的に、わかってしまうような気がするのだった。
どのことにも、ぼくはこのように内側があってもいいんじゃないか、
な、と思ったりする。
そして、眠くなる。血は流れていて、それはぼくをぞくりとさせてしまうけど、
なぜか急に眠くなってギューとおなかのあたりが鳴るように、
板のような大工のようなそいつを殺したいような眠気が、
ぼくはつまり、この血の床のあたりで、ゆっくり眠りたいのである。
緑があいさつしてくる。
ぼくはそれが気に入らない。人を殺した後は、
このように緑が断続のようにぼくにおとずれていくのだ。
緑はしゃべる。
「111111111 7777
クル ミ 88888
でね。 でもいるから。
星にあいさつしないとだめだからね? ほら
見えるでしょ? わたしの右手に刻まれてる牛みたいなこの人。
わたしこの人が好きだったんだぁ。
でも緑になっちゃったから、緑、と呼ばれたら、
わたしはひきづられちゃって、しかもそれを心地いい、
と思っちゃうのだから、仕方ないよね。」
緑はきゅー、とためいきをつく。
「あ そうだ。ヨーグルトでも食べる?
これはね、白が作ってくれた特別性のヨーグルトなんだ。
わたしはセラミとか食べて、緑を維持してるけど、
ときどきエネルギーが体のなかにわいてくるのを、甘酸っぱく心のなかで
濾過しちゃったりして。それで、たんぱく質がすごく憎くてね。
たぶん、血を構成しているものは、わたし、全部、
苦手。わたし、緑だから、微妙に皮膚とかをコーティングするんだぁ。
そしたら、わかってもらえるからね。いやみなゴミ上司とかも、
うすらうすらと、軽薄に俊敏にじっさいは賢く、そのうなづく回数とかも
エチケットらしく俊足なんだぁ。だから、好き。
わたし告白しようかな、と思ってるけど、わたしのなかの緑が足りないかな?」
ぼくは言う。
「いや、もっとぼくがとってきて上げるよ。
足りないなんてことはないに決まってるさ。ぼくだって初めは血液を
見て、(だれだって自分の内側を見るのははじめてだったりするのだ)
こわかったり、人の血液を見て、ぞくりとしたりしたけど、
そのうちぼくは皮とかも見れるようになってきたしね。
ビックリマークみたいに171717とかね。そんな感じなんだ。
だから、君の緑を、ぼくはもっと増やしてあげるので、そこらへんはOK
なのだ。
わかるかい? ね」
ふうん、と緑は となる。
ぼくは緑に向ってうなだれる。
緑はスピークのようにキンキンとしゃべり続けるので、
ぼくは土星をゴマのように抱えているみたいになってきて、
やはりいらいらしているのだった。しかし、ぼくに緑は殺せないのだ。
緑はしゃべる。
「ねぇ、いっぱい殺そうね?
たんぱく質も教室のすみっこのほうでめそめそ泣いているみたいに、
舞台がことごとく死んでしまうような、そんなおいしさを食べようね?
なんかねー そうやって人が死んだら、血がゆらゆらしてくるよね。
まるで、その血が包丁とかを飲んでるみたいに、元気に血が死体を舐めたり、
とか、そんなのが私は仕事上とても困るの。
だから、ちゃんと、私は ・・・・緑なの。」
そして、緑は急に、ほほをふくませるようなそんな感じになってるような
いないような微妙な感じになる。
「ルービックキューブを食べたいなぁ。」
そして、緑はくるくると回るのだ。
でも、ぼくは緑を見ていた。
それは鏡のように、2秒か3秒かみていると幻惑のように分裂してしまうのが、
ぼくはなんとなく悔しく、じっと緑を見てやるのだった。
ふと、(いや、自覚的だけど、)ぼくは右手にナイフが脂肪とともに握られている
のを知る。ぼくは、そのナイフの鉄分のような脂肪が、ぼくの脂肪、うすかわと
一致している青い安心感を、ぼくは感じていた。
ぼくはいらいらとぼくを感じる。これは緑なのだ。緑。
錯覚のように、ぼくは彼女を殺せないと、知る。
いや、そう思う。
ぼくは白銀のように、死んでしまうような、紙のようなゆらめきを感じる。
矢は死ね。死ね死ね死ね死ね死ね。
はれぐ のようになって死ね。
矢状のものは波紋に浮かれるがいい。
ぼくは緑が憎い。
緑はパタパタというのだ。
「選択している人を殺しましょ?」
ぼくは「ああ、」
と意味不明な感じの返事をしたようなしていないような感じで、
いつも通り彼女の指令に従う。
ぼくは、脳内で、 なにかを殺していくのだ。
それは現実の死体を1つ殺していくと、脳内で、なにかがぐにょぐにょと
繁殖していく。それは殺したいのに、殺せず。
ぼくはそこで初めて泣いてみたいような、罪悪感のようなものを感じる気がする。
しかし、明確にぼくは彼女を殺したい。
7人殺してやる。
パンのように、容器となって死ぬがいい。
と、ぼくは楽しく、べつのべつじんらしく、思ったりするのだ。
容器からハサミを引き抜くのは、めらめらとするのだ。
テ。
と。
ぶつぶつとしている人がいる。その人はパタパタと洗濯物を畳んでいるのだった。
それはまるで、飛翔、というようにその人の動きはかろやかだった。
ぼくはその人に薬を打ち込み、ゆっくりときいてみる。
「殺される前の気分はどうですか?」
「え、ああ。」とその人は、あいさつのようにぼっーと答えるのだ。
わたし
「あのね、洗濯ばっかりしててね。」
急に、その女の人は泣き出す。
「旦那がね、
ずっと私の首を絞めてきていて、
だいきらい。だいきらいだいきらいだいきらい。
ね。こんなのはわかりやすいでしょ?
あら、この薬はとても爽快ね。
とてもおいしいし、歯にはさまるし・・・とけちゃいそうな感じがするわね。
でも、わたしはしゃべらない。
主人がいるし、でも、あんな人、トラックかなにかに巻き込まれて
死んじゃえばいいのにね。」
しくりと、その人は涙をボロボロとかみしめる。
ぼくはその量におどろき、
例のように、雑に殺したくなる。でも、なんだか無気力だ。
「わたし、ずっと機械みたいに洗濯を
干したり、ずっと包丁で、果物とか切ってあげたりね。
してたんだけど」
すると、玄関でバタバタする音が聞こえるのだった。
主人が帰ってきたようだ。
そしてその人は言う。
「ただいま。
今日は本ばかり読んでいてね。
図書館で本ばかり読んでいてね。
勉強になるからね。」
そういうと、女の人は、
目を見開いて、緑の目をして、叫ぶ。
「わたしを殴って」
すると、その男の人はやれやれとでも言うように、
2秒のようにすばやくその女の人をなぐるのだった。
そして、その女の人は死んだ。
緑はぱくぱくとしゃべる。
「こういうふうに、ね、
人が死んでいくところをわたしといっしょに見るの。」
緑をぼくを抱きしめるような感じになる。
「ずっといっしょだよ。
死ぬまでね。だいじょうぶ、あと何回かすれば、
すぐ私たちが死ぬからね。
それまではずっと人が死んでいくのを見るの?
どう? いままでさんざん人を殺してきたのに、
人の死をまだ見る気分は」
ぼくはナイフを緑の頭に刺す。そのとき、ぼくは
緑がきれいな予感がした。しかし、こつんと、
緑には刺さらない。ぼくはいらいらしてくる。緑が化け物のように
見えるのだ。
ぼくは石のようなこんな人間と一緒に、過ごしたくはないのだ。
緑は妖精のようで、てきとーに可愛い感じの女の子で、
そして、親に首を絞められたことのある、
ぎみぎみの女の子なのだった。
だから、その首にはすうっーと、膜のようにあざがあるのだ。
緑のような、そんな緑のような。
ぼくはネガティブな気分になってくる。くる病のように、
あざやかにぼくは赤く目目目目目と、なってきてしまう。
それはパッチのように、貼れて貼れて貼れているみたいだ。鮮烈な生もののような感じ。
ぼくは緑を殺したいのである。
トラックに轢かれて、人が死ぬ。
みどりはそれを悲しそうに見ているのだった。
車輪のように血はべったりと道にてんてんとついているのだった。
まるで文体のように、イメージは道を舗装していた。
ぼくはその赤みを、黒と対象に、どぎつく目に映った。
緑はぱしゃぱしゃと写真を撮っているのだった。
そして、ぼくは緑にナイフを刺す。すると、緑の首から深紅の血が、
ゆらゆらと流れ出す。緑は目が白くなる。
そして、青く青くなるのだ。気が付けば、きれいに礼をした。
緑らしくなった緑がいた。
この緑は前の緑だろうか? うとうとと彼女はしゃべる。
いんしんとしゃべる。
「 」
しかし、絶命したように、あまりなにもしゃべってはくれないのだった。
ぼくは緑の部屋にいく。
そこには洗濯がたたまれていて、机があって、床があって、
台所があった。
そこで、緑は机に座る。
急に緑はきれいな女の人になる。髪はながく、
どこかであった人みたいな、きらきらしている
ポケットに水をひそめているようなその水の ような感じ。
机に向かってなにかをいっしんに書いているだった。
やはり、緑はいなかったのだろうか。
そして、ぼくは右手にナイフがあるのを自覚する。パッーと、
彼女をめたりと切ってしまいたい気分になる。
何かを飲んでいるみたいだ。
それは、彼女がペンで書いている文字一つ一つの気分だろうか。
ぼくは彼女の首にナイフをあてる。後ろから、彼女の表情は見えない。
ぼくは緊張して、すこし手が震える。皮を、ごそりと切ると、
あっさり血管じみた感触とともに、血はポタポタともったいなくこぼれる。
ぼくは急に思い出す。この血は、彼女を作っている、一つ一つの血なのだと。
ぼくはもったいない気がする。やめて、とでもいいたくなるのに、
ナイフは銀色のレールにのって、横に進みつつ前に進み。ぼくは目を閉じる。
くらやみに赤は残る。
彼女は倒れる。ぼくは途中はショットカットする。目を閉じると、
こんなふうに時空を越えることができるのかもしれないし。
ぼくはこの死体はあらさない。
緑の死体だからだ。ナイフで切り刻んだりは、いつものようにはしないのだ。
緑は横から、手を振る。ぼくはナイフを緑の首元に押さえつける。
不思議と言葉がでないのだ。みどりは寂しそうに、軽薄にわらっている。
それを見て、ぼくは3年ごとに入れ替わってるような、そんな魂のような気分、
になる。血管は、血管はきっと、世界中に何本とあるのだ。
緑の血管は、ぼくにとって大切にちがいない。緑は死んだ。
でも、緑はいる。
ぼくはどうでもよくなってくる。
とびらを開け、玄関から外に出るのだ。
工場で緑は、糸を食べていた。