消失
よく知った白い家、ある一定の距離に近づくと家全体が灼熱の炎に包まれた。
「フンッ。相変わらずのひねくれっぷりじゃな。」
近づくのもためらわれる光景の中、ひとりのドワーフがドアノブに手をかける。
『ジュッ』としびれる様な感覚とともに辺りに焦げたような匂いが漂う。
思わず声が漏れそうになるのを押さえ、ドアノブを力任せに引きそのままファイヤーハウスへと飲み込まれていく。
「がああああ。お前を許さないっ!お前らにわかるわけがないだろっ!!」
「…コロ…テヤル、ロシテ…ル、お前をッッ!!」
頭をかきむしりシロは目の前のモザイクに掴みかかろうとする。
「飲まれるなっ!!小僧っ!!!」
『ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ』
耳元に響く風をきるような音がしたと思った瞬間、シロの首を掻っ切るような軌跡で銀色のトマホークが舞う。
自分に当たるっと思ったシロが思わずのけぞりそうになる。
「動くなっ!」
ほんの数ミリ首の皮一枚の所を通過した刃は、そのままモザイクの女の顔面に突き刺さる。
まるで矛盾がほどけていくようにモザイク柄が解けていく、そのまま女の体も光彩を放ちながら霧散していく。
暫くぼーっとその風景に見とれていた俺は今を思い出す。
「……消えたっ!?」
目の前にはトマホークが突き刺さり吹っ飛んだソファがその破片を散らせながら横たわるのみ。
「倒した…わけじゃないか?」
霧散した直後、急激に冷えきっていく体の熱と痛みと引き換えに、頭のなかに響く偏頭痛に顔を歪ませながら。
周りの状況を確認する。
「皆、無事だ。」
気絶したコトとティファを両肩に抱えたおやっさんが残りの二人を目認する。
気がつけばこの部屋を取り囲んでいたファイヤーウォールも消え去り、破壊し飛び散っていたはずのテーブルや家具類が何事もなかったかのように復活していた。
「なんだったんだよ…。」
ああ、頭がいたいな。
とりあえず、こいつらを何とかしなきゃな。
俺とおやっさんが全員を二階に運んでいる頃、もう一方も予期せぬ援軍を迎えその戦いを終結させていた。
忙しく更新が遅れました。
後で色々書き加えたい所が多々あるのですが、とりあえず。
遅れて申し訳ありません。




