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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
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戦闘 Ⅱ


 ドスンという音をたて黒い影が落ちてくる。


 人というものにかかわらず、生き物というものはあんなにも簡単に宙を舞うものだろうか。


 まるでハリケーンにでも吹き飛ばされたようにキリモミ状に舞い上がるもの、真横の壁に叩きつけられるもの。


 すでに地面にくちづけをするかのようにひれ伏したものも含め十体以上の黒装束の動かぬ身体が転がる事になる。


 「どこの部隊かは知らんが、もう一度鍛えなおしてもらえ。」


 見知らぬ家の壁に突き刺さったトマホークをフンッと引っこ抜き数十メートル先にある目的地へとゆっくりと歩き出した。




 「ハァハァ…。」


 素早く距離を詰めた、アリエッタの繰り出す刃は全て弾かれる。


 魔法使いが一般的に接近戦を得意としていないというのは間違いらしい。


 ティファのように接近戦も得意としている魔法使いは稀有だが、ゲームのように接近戦が苦手の者が何の手立てもなく戦場に挑むことはまずない。


 それもたったひとりで聖獣のいる家に乗り込んでくるような狂気じみたやつだ。


 打つ手なし。


 そう言い切っていい状況だった。


 アリエッタの刃は届かず、牽制で撃たれる二つの魔法は全てが無効化されていく。


 唯一狂狐達の体当たりだけは、身を翻しかわし続ける。


 俺が素人目に見ても、アリエッタにしてもアグエロさんの妹にしても相当な腕ききのはずだ。


 それに加えティファはあの蒼炎のメンバーでもある。


 更に狂狐三匹まで相手にして、ただの一撃もヒットしないのだ。


 その間モザイクの女は一切の攻撃をしてこない。まるでこちらを試すかのように。


 

 「筋は悪くない。だけどそれだけね。」


 モザイクの女はそう言うと、投げキッスでもするような仕草で俺達のいる方へ息を吹きかけた。


 「避けっくっ…」


 「キャアア。」


 「ッ…。」


 喉が焼ける。そう思った時にはもう息ができなかった。


 女が息を吹きかけただけで熱風が巻き起こった。


 かろうじて直撃を免れたのはまたしても白とピンクの二匹のおかげだった。


 だがその二匹も今の一撃を防いだ代償か、よろよろと足元をふらつかせる。


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