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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
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戦闘

 

 「それにしても…聖獣が増えるとか聞いたことないんだけど。」


 先制、放たれた一発の光の弾丸がモザイクの顔面へブチ当たる。


 眉をピクリと揺らしたティファは、全く無傷の対象に驚きはしない。


 「そこの結界破り?人の話はちゃんと最後まで聞きましょうと教えてもらわなかったの?」


 構わず振り下ろす右腕から数え切れない程の光の粒がかまいたち状に飛んで行く。


 当たる、そしてそれは対象を確実に切り裂くように思えた。だが今回は、かすることすら許されない。当たる寸前に煙とともに光が消えていくように見えた。


 「「き…消えた!?」」


 思わず声を上げたのは魔法の常識を知っている二人。


 魔法使い、魔術師というのは、そのほとんどが持って生まれた才能で決まると言ってもいい。


 魔力というのは、成長とともに多少の増減はするもののそのキャパシティは生まれ持ったものだ。


 魔力がないモノがいくら修行しても魔法使いにはなれないし、魔力に目覚めることはない。


 そしてその才能を有するもののほとんどは、幼少の頃より特別な教育を受けることになる。


 基本的な魔法の使い方、防ぎ方を教育されるわけだが、防ぐ方法は二つしかないと教えられる。


 避けるか防ぐか。


 ただこの二つも正確には絶対的に防げるものではなく、術者に魔法を打たせないのが最善である。避けるに関しては単一をターゲットとした場合にのみ有効であり、範囲系の魔法はその術者の魔力によって範囲が変わるため逃げようとして逃げきれるものでもない。

 

 もうひとつの障壁などで防ぐ、ちなみに物理的な盾などでの防御はあまり有効ではない。


 障壁にしても障壁をはる術者の魔力が魔法を放つ術者より互角以上でなければならない上、障壁は魔法をそらすことに特化しているものがほとんどである。


 通常魔法を完全に受け止めることは出来ないというのが常識として教えられる。


 「魔法を無効化することなんてっ!?」


 「……。」



 ただひとりこの現象を間違って科学的にしか考えられない男が一人。


 

 「蒸発した?っていうか光って蒸発するのか?いや…photoevaporation(光蒸発)ってのもあるくらいだし…。」


 実際には光蒸発は光が蒸発することを言うのではないのだが。


 だがその独り言に興味深そうな反応をするのはモザイクの女。


 「へぇ、面白いコ。…お前もそれに魅かれたの?」


 通じるとは思えない相手に言葉を投げかけた。


 理解したかは定かではないが、狂狐が再び吠える。


 それを合図にして、アリエッタと狂狐が動き出した。


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