来客
「お久しぶりね。」
「……。」
「……。」
「…。」
「…。」
「えっと、どちらさまで?」
自宅の玄関、目の前で拳を握りしめ、怒りを体中に溜め込みプルプル震えてる銀髪の少女が一人。
「お、お、お、おっおまえはぁああああ!!!」
振りかぶった拳が振り下ろされようとした瞬間後ろの影から見知ったメイド服の女性が姿を現す。
「お嬢様。私の言ったことをお忘れですか?」
銀髪の少女は後方から羽交い締めにされ、ジタバタと手足をばたつかせながら
「アッ、アリエッタァ!?お兄様についてったんじゃないの?」
「アグエロ様から《そろそろ可愛いアイツが我慢できなくなりそうだから》見てるようにと仰せつかっております。」
「がっ我慢とか言わないっ!」
顔を真赤にしながら未だ暴れている姿はスカートはめくり上がりエライことになっていて目のやり場に困る。
「お嬢様。そろそろ足を閉じないと大切な何かをなくしてしまいますよ?」
「なっ!?」
急に落ち着きを取り戻したかのように少女はジタバタをやめ地に足をつけた。
「と、取り乱しました。」
「は、はぁ。」
俺は訳も分からず空返事をする。
「だけどこれとそれは話がべっつッッッ!!」
『ドガッッッ』
振り上げられたそのきれいな脚はなんのためにあるのか…。
鋭角に急所をえぐり俺の下半身が意識とともに沈んでいった。
「ご、ごめんなさい。」
「申し訳ありません。」
……。
「いや、潰れてないからいいけどね…。」
股間を冷やしながらの美女二人との会話はシュールだ。
「それでですね…申し訳ないんですが…どちら様ですか?」
グッと再び握りこぶしを固め立ち上がろうとする銀髪の少女の後頭部を『スパーーンッ』と叩くアリエッタ。
「お嬢様。アグエロ様もそうでしたが、お嬢様はちゃんと名乗りましたか?」
「イッタイッ、あたりまえじゃない!そンナの。名前くらいなのるわよっ。」
「世を忍ぶ仮の姿で外界に出られているのに?名前がばれないように変装しているのに?ですか?」
ああ…この娘、髪の毛の色は違うけどあの娘か。
やっと俺は彼女を認識する。
「アグエロさんの妹か。」
「なんかその表現は癪に障るわね。」
難しいやつだな…。
「お嬢様。お嬢様がいまいち男性の方といいお付き合いが出来ないのはそういう…。」
「ちょっそれかんっけいないからっ!」
……。一体何しに来たんだろう。前回もよくわかんないうちに終わったような。
「でしたらせめてきちんとご挨拶をしてからにしませんと…このままだとただ殿方のアソコを蹴りあげた暴漢ということに…。さすがに私も擁護しかね…。」
「わっわかってるわよっ!」
それにしてもこの眼鏡メイドも謎だよな。
この人は見た目にそぐわず、かなりの使い手みたいだけど…自分のご主人様に対してその態度はどうなん?
祝3万PV&3千ユニ(`・ω・´)
貴重な時間を私の拙い小説にさいて頂いて本当に有り難うございます。
今後とも宜しくお願い致します。
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