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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
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協力者達

 匂いにひかれて現れたサラサさんも加えてよくわからないメンバーで宴会が始まった。


 そういや、筋肉兄とちゃんと話すのは初めてか。


 「そうか、おやっさんとは血のつながりはないんだな。」


 「そうだ。俺達は戦災孤児だからな。おやっさんが拾ってくれなかったら、今頃どっかで野たれ死んでたわ。」


 だからだろうか…血の繋がってない子供をつれた俺を気にかけてくれてたのは。


 「しかし、親父からは聞いてたがお前…いやシロ殿は面白いものを考えつく。」


 そっくりな顔の弟が話しかけてくる。


 「面白い?」


 「ああ、これもそうだ。ショーチュー?だったか?こんな濃厚で淡い深い酒は初めてだ。」


 ウンウンと頷く兄と並ぶと鎧を着てない彼等は本当に見分けがつかない。


 「…先程は途中になったが謝りたいというのは本当だ。この酒の礼もしたい。」


 「「なにか手伝えることはないか?」」


 奏でる双子のハーモニー。


 「いや…手伝えることっていっても別に…あっでもあれは…。」


 彼等は冒険者だ。それもこの街のトップクラスのだ。


 冒険者という職業に詳しいわけじゃないが、やはり戦闘に長けた者が優秀であることに違いはない。


 俺は別に狩りに行くわけでもないし、護衛が必要というようなレベルの人間でもない。


 正直手伝えることと言われても武で物事を片付けるタイプの人間の需要はないわけで。


 あっ、ん~でもさすがに。


 一つだけ浮かんだのは現在製作中のゴムの加工だ。


 ゴムの木が見つかりラテックスが採取出来たのはいいが、問題はその後の加工だった。


 通常ゴムというのはラテックスを乾燥させ、不純物を取り除いた後高圧プレス機で加工する。


 そのプレスが問題なのだ。特に下着に使うようなゴムは適度な強さに加工しなければ使いものにならない。


 …ただ高圧プレス並みのパワーを人が出せるかというと単純に想像しがたいものがあった。


 「なにかあるのか?」


 ものの詰まったような俺の言い方に、はっきり行ってくれと詰め寄る兄弟。


 その迫力に話すだけ話すかと口を開く。


 「実は困ってることがあるにはある。」


 そんな身を乗り出すなよというぐらいの迫力はやはり暑苦しい筋肉のせいだろうか。


 「あるにはあるんだけど…通常の人間業じゃ不可能な作業なんだ。」

 

 「なにっ!」


 「我らは自慢じゃないがこれでも名のある冒険者だ。多少の人間離れは得意中の得意!」


 そんな得意やだけどな。


 俺は深く一つため息を履くとゴムについての説明を始めた。


 

 その間ずっと耳をそばだてて、こっちを伺っているサラサさんが親指をクイッと上げてグッとポーズを付ける。


 なんか怖いからやめて下さい。

  


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