ひれ伏すもの
アヤセをカットした後、俺とアヤセに確保されたサラサさんを二人でゴールドフィンガーの刑に処した。
「あ、侮れないわね…。」とつぶやきながらサラサさんに睨みつけられたが気にしない。
その夜、家には珍しい客が訪れていた。
「「申し訳ありませんでした!!」」
…いや、そんな頭下げられても…
ザッツ土下座。
目の前に広がるイレギュラーな光景は、俺とコトそしてたまたまデザートの差し入れに来てくれたアヤセを沈黙させるの充分だった。
おやっさんが仁王立ちする前で頭を下げるハゲ二人。
そう、今思いっきり土下座しているのはマッスルブラザーズ。
彼等に会うのは狂狐事件以来だ。
何故こんなことになっているのかというと、昔ギルド前であった一悶着が偶然おやっさんの耳に入ったらしい。
その後烈火の如く怒り狂ったおやっさんが筋肉兄弟を襲撃。
そして現在に至るというわけだ。
「あ、あの…もう済んだことだし。」
「いいや!こいつらにゃ責任を取らせる!」
おやっさん雷親っぷりがすげぇ。
「てめぇらは人の命をなんだと思ってやがるんだっ!しかもこんな小さい子供に斬りかかるだとっ!」
個人的にわだかまりがないわけじゃないが、森で協力してもらったこともあるし、今更それを持ち出して言い寄るようなことはない。
それにしてもこの二人は本当におやっさんに頭が上がらないんだな。
顔面を床に擦り付けるように平伏しているためその表情はわからないが、相当怖いんだな。
「まぁまぁ、おやっさんもこれでも飲んで。」
アヤセに頼んで入れてきてもらった芋のお湯割りを激昂するおやっさんに手渡す。
「くっ謝罪に来て酒を飲むわけには…。」
「でも、コトもびっくりしてますから。」
突然の出来事でなにがどうなったのかわからないという表情でじぃっと見つめるコト。
「これ以上はおやっさんがコトに怖がられますよ?」
ことの顔を見るとおやっさんは困ったような表情で一気にお湯割りを煽る。
「あっアチィ!」
「…あーあー。おやっさんは本当にコトに弱いな。」
俺はパンパンと手を叩き、
「とりあえず飲んでくれ。これで全てを流そう。」
そう言うとアヤセが芋のお湯割りを俺と筋肉にも手渡す。
コトとアヤセはカフェオレだ。
筋肉兄弟は神妙そうな顔で口をつけた焼酎に衝撃を受け。
アヤセは勝手につまみがほしいと燻製をあぶりだし。
おやっさんはコトに自分は怖くないということをずっと語り続けている。
若干コトは引き気味だった。
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