2つ目の称号
「あっ…んん……あぁ。」
「あんっ…あっあっ…ダメ…。」
……。
「プッププププ」
「…あっ、そこは」
陽の光が燦々と降り注ぐ中、小鳥たちがおしゃべりする声が響く真っ昼間の自宅の庭は、一種微妙な空気を醸し出していた。
…切りにくい。
アヤセの髪に触れる度彼女は敏感に反応し声を漏らす。
や…やりにくい。
「ブッ!アハハハハ。」
「「ちょっとお姉ちゃん(サラサさん)」」
「ご、ごめんプッでもおもしろすぎる…。ブッ」
いや、それは否定しないっすよ。
俺だって当事者じゃなかったらおもしろいもん。コレ。
「アンッ。」
髪を救う度響く場違いな甘美なる声。
マジで個室とかでやらなくてよかったわ、変な誤解を招きそうだ。
「サラサさん…コレが見たかったんですね?」
「そっそんなわけないじゃないっ…プッ。」
「いや…プッて。」
「ご、ごめんなさい。私髪とか耳ダメなんですよ。今までもお姉ちゃんやお母さんに笑われまくりで…まぁ慣れてたんで。」
うん。だろうね。
サラサさんがもうお腹抱えて笑ってるし…。
「サクッとやっちゃおう。すぐ終わるから我慢して。」
「え?あ、はい!がんばります!」
グッと握りこぶしを作り元気良く答えるアヤセ。
がんばってどうなるもんでもなさそうだけど…まぁいいか。
手にとったアヤセの濃紺の髪は思いの外繊細だった。
元の世界で言うなら運動系の部活を頑張ってる元気美少女ってイメージがバッチリハマる。
その固定観念が彼女の女性っぽさをイメージさせなくしていたのかもしれない。
ロングヘアも似合うかもな。
そう思いながら未だ腹を抱えているサラサさんを見る。
ま、性格はどうあれあの人と血がつながってるわけだから、素材は一流なんだよな。
スタイルは悪くないし、というか個人的には多少むっちりしてる感じのが、こう情欲を唆るというか。
ふと、見下ろした谷間は破壊力抜群だ。Dカップは軽くありそうだし。
いや、今見るのはまずい…サラサさんをこれ以上無駄に喜ばせたくない。
そんなことを考えている間に息も絶え絶えになったアヤセが
「あっあっ…シロさん。これは何かのイジメでしょうか…あっ。はん…。」
しまった…妄想中俺はずっと無意識に髪を触っていたらしい。
「ご、ごめん!アヤセ。大丈夫か?」
ぐったりとしたアヤセが椅子から落ちるように地面に座り込む。
「…もぅ…無理。」
もちろんこのやりとりはサラサさんの爆笑を誘い、数日後、俺はこの様子を遠巻きに見ていた近所の主婦連中に【指先の魔術師】という称号で呼ばれるようになる。
なぜそんな称号ばかり増える…。
年末で仕事が立て込んでいるので、若干更新がずれ気味になります。
なにせトッテダシなので!
みなさんもお忙しい時期ですが、お体に気を付けてお仕事勉強がんばってください。




