爪
「あははは。とべるなー。」
「……。」
「とうちゃん!たのしいな!かわいいな!」
……。
「…ああ。」
あれから辺りをみんなで捜索したもののクリスタルらしきものや石碑らしきものは見つからなかった。
早朝五人と一匹で森に来た俺達は、昼頃五人と三匹になって帰宅することとなる。
「どうせ、お前らも来るんだろ?」
両肩に乗った二つの物体に問いかけるものの答えは帰ってくるわけもなく。
「とうちゃん!そいつらもかぞくだな!」
ことの嬉しそうな声に少し心を救われながら来た時より少しげっそりした表情で森を後にした。
「きゃはははは。」
コトの軽快でごきげんな笑い声が響く小さい庭。
二匹のぷち狂狐が小さな四本の足で真上に飛び跳ねる、コトがパタパタとそれを追いかける。
少し遠い目をして、縁側でお茶をすする俺の隣には狂狐が凛とした姿で姿勢正しくお座りをかましている。
「なぁ、あれってお前の子供なの?」
……。
「ピンクの方が弟か妹ぽいよな?」
……。
「…今日はいい天気だなぁ。」
今日はアヤセとサラサさんが晩御飯を作ってくれることになっている。
別に理由はないが、なんかそういうことになったのだ。
今日はもう特に用もない。
だからのんびりとこうしているわけだが。
心は落ち着かない。
わからないことが多すぎる。
それ程気にしない達の俺でもさすがに幾つかは確認しておきたいこともある。
……。
そう思ったところで、何をどう確認するのかやりかたがわからない。
学者ですらおやっさんの話を聞くとその生態すらよくわかってないらしいし。
「はぁ…。」
じっと狂狐をみる。
目があった。
「そういや、お前TENKOって知ってる?」
『バシッ』
おおおおおお。ってそれほど痛くはねぇけど…
額に肉球パンチ。
『キュッ』
「がぁあ、爪っツメっ!」
おおおおおお。こいつ…ツメ立てやがった…居間のは絶対故意だろ。
額から四本の鮮血の糸が流れ落ちた。
「はぁ…。」
「とうちゃん、あたまからちーでてるぞ?」
「ああ、ちょっとな。」
「そうか!」
ダッダッダッっとまた駆けまわる。
元気だな。子供って。
登場人物が増える度、頭の中が衝動的にシェイクされます。
個人的にキャラ整理用に設定は書いてるんですが
ある程度こちらにも載せたほうがいいのかなぁ~とか思いながら…。
本日も読んでいただきありがとうございます。




