ぐりぺしペとぽん
狂狐とそっくりなそれは今は俺の両肩に乗っている。
何故両肩かというと、答えは簡単。
増えたからだ。
「お前…誰?」
と問いかけるがもちろん返事などない。
俺は腰を下ろし、よ~くその物体を見つめる。
うん…めっちゃ白い、可愛い。
すげぇ、ちっちぇえ。
なにこのぷちサイズ狂狐。
子猫サイズのソレはぴょんぴょんと俺の身体を駆け上り右肩に座った。
おおお~。身軽っ!っつーか軽いなお前。
お…おお~なんかもう一匹出てきた。
草むらから臆病そうに顔を出したのは少し色素の違うのプチ白狐。
ピンク!?っぽい?
まだちっこいから色素が沈着してないんだな。
「お前もこい。」
暫く警戒気味にぐるぐる回っていたが右肩に乗るもう一匹と目配せをすると、ピョンっとひとっ飛びで左肩に乗った。
おお~。
で…ナニコレ??
二度目のナニコレ○百景は、またも狐がらみだった。
白とピンクの狐とモフモフしてるうちに寝てしまった。
結構時間がたったんじゃなか?
未だおやっさんとコト狂狐が来た気配はない。
「あれ?あいつらは?」
あたりを見渡すと少し離れた場所に二匹がじゃれあっていた。
中々ハードなじゃれあいだ。
するとその後方に今までなかったはずのものが建っていた。
「何だこのバカでかい水晶みたいな…これがクリスタル?」
俺の身の丈の倍以上あるであろう巨大なクリスタルは神々しい光を放ちながらそこに聳えていた。
ジィーっと見つめる俺に、まるでもっと近寄ってみろと二匹の狐が訴えるかのように俺のパンツの裾を咥え引っ張っていく。
近くに来ればその大きさに圧倒される。
クリスタルとは元の世界でよくゲームやアニメなどで使われているが本来の意味は氷のような鉱物のことを指す。
「透明…いやグリーンぽいか、リアルに目の前にするとスゴイ存在感だな。」
二匹の狐が、俺の両肩に再びよじ登ってくる。
『『ペタッ』』
「冷めてっ」
俺の頬を二匹の狐の肉球が挟む。
触れってのか?これを?
『『グニィ~』』
ん~おやっさんが来てからの方がいいような気がするなぁ。
『『グリグリ』』
ん~。
『『ペシッペシッペシッ』』
「イテテテ、わかったわかった。」
触ってなんかあったらお前ら責任取れよ…。
「とりゃあ!」
『ペトッ』
クリスタルに殴りかかるように勢い良く突き出した右腕の先を掌底のように反らせペトリとひっつける。
「……。」
……。
…。
「何もおこんねーじゃねーか!?」
ふん…なんとなくわかってたけどね。
大体さ、そんな都合よく何かの力が手に入ったらさ…。
エグッグゥ…。
何故だ…なぜだか俺の心の中二病が泣いている気がした。
『ポンポン』
両肩のぷち狐共が慰めるかのように優しく肉球で頬を叩く。
「おまえらがぁああさわれっつったんじゃねーーかぁああああああ!!」
ああ、戻ろう。
ここは寒すぎる。




