ナニコレ
「とうちゃん!むこうにへんなもんがあるっていってた!」
「…誰が?」
満面の笑みで狐を指さすコト。
おお~遂にうちの子動物と会話できるようになったのか…。
狂狐の方を見れば関係なさ気に風に髭を揺らしている。
時折、飛んでいる蝶に気を取られる所は愛らしいんだけど…いまいちコイツがここにいる意味がわからん。
ま、いいか。
「んで?どこに何があるって?」
俺は腰を上げコトが案内する方へと足を運んだ。
鬱蒼と茂る木々の先へと導かれるように進んでいく。
しばらくすると木々が道を開くように立ち並ぶ、まるで示されたような道を偉そうに狂狐が先導しその後を俺とコトが着いて行く。
…ナニコレ。
もう狐に騙される感がハンパないんだけど。
そんなことを思っていると、何かの前で狂狐がチョコンとお座りをする。
「ん?なんだ?」
俺は前を覗きこむ。
墓石?いや…石碑か?
何か文字が書かれているようだが、かすれていて読めない。
まぁそれ以前に俺には文字など読めんが。
「ん~~~。おやっさん連れてくるか。」
俺を引き止めるようにコトが立ちふさがる。
「コトがいく!」
「あ~大丈夫か?」
「だいじょぶ。すぐかえる~!」
うん、それすぐもどるが正解な。
まぁいいか、狂狐もいれば迷うこともないだろ。
しかし…俺は腰の高さくらいの机上の石碑を見る。
なんかギリシャ文字に似てるか?、なんかの記念碑か墓石っぽいけどな。
ホコリを払う様に石碑の文字を撫でる。
《…TEN…KO…》
なんだ?なんか文字が頭の中に入ってきた。
《…TEN…KO…》
もうひとなで。
《…TEN…KO…》
……。
「それだけかよ!」
思わずツッコんだ。
なんかこう、「すごい量の情報量が頭の中に!」とかじゃないんだな。
この世界にそれを求めてはいないけどさ。
この世界には、ラノベやアニメでよくあるLv設定も転生特有の固有スキルもない。
あるとしたらあまり嬉しくはない、巻き込まれ体質だけだ。
「はぁ…。」
なんかドッキリとがっかりが一緒に来た感じ?
あれ?
なにか足にまとわりつくモフモフ…。
「お前、コトと一緒に行ったんじゃなかったのか?」
クニクニと俺の足に額をこすりつける。
俺は不思議そうにその動きを見ていた。
狂狐は、基本エサの時以外俺のトコに擦り寄ってこない。
というかエサを食ったらプイッと顔を背けて寝るやつだ。
こんな可愛げはないぞ。
「お前…誰?」
今日は寒いです。
部屋に閉じこもっていると何故か筆が進みません。
みなさんも風邪をひかないように暖かくしてくださいね。




