王子
「下がれ。アリエッタ。」
「…。」
すぐに忍者のごとく姿が見えなくなる。
おお~、なんかアグエロさんの周りもすげぇ人満載だな。
思わず感心してしまう。
「悪かったな。」
そう言いながらアグエロは役人の首をグイッと覗きこむ。
「血は出てねぇんだ。これで許せ。」
そう言いコインを何枚か役人の手に掴ませた。
「い、いえ、このような…。」
「いいからとっとけ。それと上役に伝えとけ、この件は国王に報告する。二度とでしゃばるな…とな。」
国王?
この人なんか怖いこと言った…。
そのまま役人は持ってきた召喚状をぐしゃぐしゃに握りつぶしながら、馬車で疾走いや失踪した。
「……。」
昼からトンデモ展開で今日もなにか疲れそうだと思いながら目の前の長身のイケメンを見る。
「すまんな。ガキは元気になったか?見舞いがてら…な。
ちょっとあがってもいいか?」
「ああ、有り難うございます。えっと今の件も。どうぞ。」
俺はお茶でも入れますよと中へと招き入れるとそこには…。
さっきの眼鏡メイドがすでに居間にティーセットを用意して待っていた。
…うん。
まぁいいか…。なんか最近これ多いな。
目の前にいるアグエロはまるで我が家かのようにくつろいだ態度で
「とまぁ、あー言うのが今後増えてくる。こっちでもある程度止めては見るが…限度があるからな。
国がらみで本当に償還する場合は俺を通すように言っておく。
それ以外は断ってくれて問題ない。」
…つかこの人は国王とか国がらみとか、貴族?なのか?
「ああ、それと後でいくつか酒を届ける。なんか最近エールでなんかしてるんだろ?」
「え?ええ…まぁ。」
確かに俺はビールが飲みたくてエールの改良をおやっさんの知り合いのエール工場に依頼している。
「お前の酒はうまいからな。」
「あの…。」
「芋だっけ?あれは…ん?なんだ?」
「あの、アグエロさんて何者なんです?」
「あ?…。」
その言葉にアグエロとアリエッタが顔を見合わせる。
呆れたような顔でアリエッタが久しぶりに口を開く。
「アグエロ様、あれほど初対面の挨拶は重要であるとお祖母様から…。」
「あああ~わかったわかった。言うな。妹も話が噛み合わないとか言ってたのがようやくわかったよ。」
ため息混じりにアリエッタが困った顔を擦る中。
「すまなかったな。そういやきちんとした挨拶がまだだったようなきがするわ。
俺の名は…って名前はいいか、一応こう見えても王の息子をやってる。」
「……はい?」
俺は耳までおかしくなったらしい、なんでだろう…あの狐が来て以来不安要素の連鎖が止まらない。
ああ、神様。
俺は普通にまったり暮らしたい。
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