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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
7/166

大人の階段

ショートです。

 

 『ガバッ!!』


 匂いに誘われたのか、足元で起き上がる小動物に声をかける。

 

 「おはよう。」


 キョロキョロ辺りを見回しながら


 「しまった。寝過ごした!」


 大きな口を明けそう叫んだ。


 「何か予定でもあったのか?」


 「いえ、特には!」


 「そうか…。」


 

 俺は、この世界の全てなど知る由もない。


 なにせこの世界歴一年とちょっとだ。

 

 ただ、目にしたものだけを信じて生きていくしかない。

 

 言うなれば、今この世界の時代軸は中世のヨーロッパあたりだろうか。


 正直、西洋の歴史に詳しいわけじゃない。


 ただ、漠然とそう思う。



 剣と魔法と聞けば、だれでもそう思うだろ?。


 まぁ、魔法なんてまだ見たことはないけど、あるには…あるらしい。


 「魔法が使えるなんて、すぐに王宮勤めでこんな片田舎にいるはずないよ。」

 

 と旅の途中でお世話になったおばちゃんがそんな事を言ってたっけ。


 この国で二番目に発展しているというこの街なら、もしかしたら見れる機会もあるかもしれない。



 この殺風景な部屋も、徐々に住みやすくしていかないとな。

 一応二階建の一軒家。

 部屋は一階にキッチンとはいえないような設備の調理場と居間。

 部屋の仕切りはなく、どんと四人で使えるくらいの木材のテーブルが広い部屋がひとつあるだけだ。


 二階は二つ部屋がある。


 ひとつは俺の荷物部屋件籠もり部屋。


 もうひとつは、ゲストルームといったところだろうか。

 

 昨日は疲れて二人でそのまま居間で寝た。


 基本、欧米スタイルらしいこの世界でベッドを使わず寝てるのは、かなりの貧民らしいのだが。



 「なぁ、なにしてんだ?この匂いなんだっ?」


 「ん?ああ、これはコーヒー作ってんだ。」


 「コーシー??」


 「ああ。」


 「うまいやつか?」


 「大人の飲み物だ。…飲むか?」


 「うん!」


 「ちょっと待ってろ。」


 まだ砂糖がないけど、これも大人の試練だ。


 手動式でドリップした機械は、ドワーフのおやっさんが自分で使っていたのを譲り受けた。


 一つしかないというので、遠慮したんだが

 

 「持っていけ。」


 の怒号一閃。

 まぁ、あの人も見た目でかなり損してるタイプだな。

 すげぇいい人だ。


 「ほら、熱いぞ。」


 手渡されたカップを両手で持ち、恐る恐る口をつけている。


 「苦い…。これが大人の味。」


 「無理するな…あっ。」


 『ゴクッゴクッゴクッ』


 「うわ~、中々やるなお前…。

 大丈夫か?」


 『コンッ』

 とカップを自分の背丈より高いテーブルに背伸びして置くと。


 「これで大人だ!」


 『げえ~。』

 

 「うわっ、吐いた。」



評価、ブクマして頂けると大変喜びます。

大切な時間をさいて頂いてありがとうございます。

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