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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
61/166


 夕方

 アヤセ、サラサ宅。


 『ザーージャバジャバ。』


 水場で水をかぶるコト。


 まだ頬の辺りには軽く土がついていた。


 バケツを持ったアヤセが二杯目の水をコトの頭からかける。


 「お父さんにバレたら怒られちゃうからね。」


 「とうちゃんはなにもわかってくれない!」


 不満気に頬を膨らますコトに


 「でも、ちゃんと説明しないとね。」


 「…あしたもういちどいったら。」


 それでも怒られるのはイヤなのか語尾は消え入りそうな声となっていく。


 しょうがないなと言った顔でアヤセは、共犯の片棒を担いだ手前あまり強くも言えず、パンツ一丁のコトの体を拭いていく。


 結局、次もその次の日も言うきっかけはつかめず、ただただ秘密が重く増えていく事となる。


 そして、起こるべくして事件は起こる。




 ――――――



 ああ、うざったい。


 『ザバッザバッ』


 気持ちが悪い…。


 やっぱ気にせず革のブーツを履いてくればよかった。


 グチョグチョのスニーカーの中を泳ぐ足の指の感触に、どんどん精神が疲弊していくのを感じる。


 この世界の雨は慣れない。


 この世界の雨は非常に生温いのだ。


 加えてこの世界に傘はないらしい、雨の日の外出は常に三十度位のシャワーを浴びている感覚だ。


 実際、冒険者などはクエスト中に雨が降るとシャワー代わりにして体を洗うんだそうだ。


 しかし、何故こんなびしょ濡れになっているのかと言うと,、テオの


 「師匠!仕事ちゃんとして下さい!もうこんなにオーダーたまってるんですよ~。

 森に行くなら休みの日にして下さい!!」


 温厚で普段ボーっとしているテオがテンパッてキレるという事件をはさみつつ、やっと昨日貯めていた仕事が無事消化され。


 朝から家にやって来たおやっさんに引っ張ってこられたわけだ。


 ちなみにコトは相変わらず不自然な動き満載で朝からお隣へと向かった。


 よくもまぁ飽きずに不機嫌を続けてられる。


 あれからもう五日はたってるが、相変わらずの無口っぷりだ。

 

 アイツすげぇ~頑固だったんだな。


 知ってるようで知らなかった一面に感心するやら呆れるやら。


 おやっさんもなにもこんな雨の日にと思ったが、どうもこの世界の人にとって雨だから外に出ないとか予定を変えるというのは、選択肢にないらしい。


 一度「雨ですし今日は…。」と言ってみたものの。


 不思議な顔で「なんでだ?」と返されてしまった。


 その後は「いくぞ。」の一言で俺のチョイスする道はひとつしかなくなった。



読んで頂いてありがとうございます。

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宜しくお願い致します。

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