ティファ
「えっもう時間!?まってぇあぅぅぅぅぅ。」
何か黒装束の集団に個室から引きずられていく少女に声もかけられず。
飲食代の請求にドキドキしながら席を立つ、会計所前で「お支払いは結構でございます。」の声に安堵し。
「結局、何だったんだ。」
店の前でしばし呆然と立ち尽くす。
『クイックイ』
「ん?」
引っ張られるような肘の感触に
「ティファ?」
「ん。」
「そうか、ハサミ買えたんだ。」
「ん。」
「ところでティファ。俺の家どっちかわかる?」
「…ん。」
「じゃぁ、悪いけど教えて。」
「干物。」
気に入ったのか…。
「わかった。家についたら包むよ。」
完全に帰り道がわからなくなっていた俺だった。
「コトはふて寝か。」
帰宅するとすでにコトは二階で寝ていた。
夕方に寝たらまた夜眠れなくなるのに。
コトの寝姿を確認し、一階へと降りていく。
「ああ、ティファはその辺適当に座ってて。今お茶でも入れるよ。」
試食会の時に美味しそうに飲んでいたホットカフェラテを入れる。
居間のソファにちょこんと座っているティファにカップを手渡す。
ティファはカップに口をつけると満足そうに頷いた。
「干物は後で包んどくよ。」
「ん。」
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