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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
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噴火

今年もあと一ヶ月ですね。

 「なぁ…。」


 「一人ではダメ。」


 「なぁ。」


 「ダメだ。」


 コトはあれから事あるごとに、森に行きたがる。


 森というかあの白狐だ。


 それでもあれから何度かは森に行った。


 そのうち飼いたいとかいいだしそうで怖い。


 別に動物は苦手じゃない、むしろ大好きだ。


 元の世界ではハムスターや小鳥は言うに及ばず犬や猫、果てはフクロウやモモンガまで飼っていたほどだ。


 だが、野生のものは野生のままの方がいい。


 変に餌付けなどしてしまうと、自分で餌を取ることを忘れてしまう。


 そして人を怖がらなくなるのも、野生としては致命的だ。



 「ううう…。うがああああああ。」



 うお、遂に噴火した。


 玄関へ脱兎のごとく疾走する。


 「お~い。一人でいったらダメだぞ~。」


 「となり!」


 『バタンッ』


 おお~、すげぇ怒ってる…反抗期。


 

 しばらくしてコトが援軍を連れて帰宅した。


 「私、狐って見たことないんですよ~。」


 ニヤリと悪い笑みを浮かべるコト。


 アヤセを連れて行く気か、少しはワル知恵が働くようになったようだ。


 「女の子と子供だけじゃ危ないからダメ。」


 『プーーーッ』


 コトの顔がみるみるうちに赤くなり、頬はパンパンに膨らんだ。


 「あがあさががががあああ!!」


 わけのわからん奇声をあげて、部屋を出て行った。


 「あれ…。いいんですか?」


 「ほっとけばいい。」


 「ハハハハ…。お、おじゃましました~。」


 困った顔でアヤセは出て行った。


 次はサラサさんでも連れてくるだろうか。


 女性はダメだと思ったならそれはないか。


 とにかくそんな頻繁にあの森に行くのはごめんだ。


 狩りでもするなら実にもなるが、他にやるべきことが今はあるわけで。


 コトには少し我慢も覚えてもらわないといけない。


  

 コトの不機嫌さはしばらく続き、俺とコトの無言戦争は隣人にも飛び火しつつ、多大な迷惑をかけ過ごすことになる。


 


貴重な時間を私の拙い小説にさいて頂いて有り難うございます。

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