剣と盾と
大体一時間後
俺は今日何度目かのブラックアウトからの帰還を果たす。
結局、俺は女性物の下着を作らなきゃいけないらしい。
「燻製とか焼酎なんて未知なモノが作れるんだったら作れるはず。」
という強引な結びつけで無理やり約束させられた。
「最悪、あなたの下着と同じでいいわ。あなたの下着も普通じゃなかったもの。」
ああ、しっかり見られてたんですね。
怖かった…サラサさん恐るべし。
心身ともにボロボロになりながら、一階に降りると何故かテオがボコボコにされ布袋とともに玄関に捨てられていた…。
お前も大変だな。
――――――
「男と風呂に入るとはな…。」
「いや…僕はレジェンドと一緒にって方が緊張するよ。」
テオとコト、シロを除いた男どもは、ひとしきり飲んだ後、湯煙の中にいた。
「先に体を洗え!!それが風呂のルールだ。」
ドヴァーリンの声が風呂場に響く。
「アグエロは王族だし、お風呂はよく入るんじゃない?」
「まぁな、だが木の風呂ははじめただ。この香り…なんだろうな。」
「これが桧じゃ。」
「…干し肉なんかより、全然旨い保存食に、王族風呂を凌ぐ木の風呂か。」
ドヴァーリンのひと睨みを、びびらず受け流すように
「わかってるさ。なにかしようってんじゃねぇ。ただ…時間の問題だぜ?
これだけの発明だ。この燻製だけで市場は独り占め、一生食うに困らんだろ。」
「アグエロ…。」
「それにあの酒もクセになる味だ。武の才能はまったくないようだが、この発明はこの国を豊かにさせることが出来る。」
「…権利を取り上げて…か?」
「俺や親父ならやらないさ。だが、利権好きの貴族の連中や他のバカ候補ならやるぜ?」
「「だろうな(だろうね)」」
「最悪他の国に逃げ出すしかなくなるな。それこそが避けるべき最悪の結果だっつーのにな。」
「お前らが守ればいい。片や蒼炎、片や王族だ。これ以上ない剣と盾だろう。」
ドヴァーリンの言葉は的を射ている。
【燻製】【焼酎】【風呂】そしてドヴァーリンとティファ、テオくらいしか知らないが【ハサミ】
そこから生まれる副産物も含めて考えれば、利権を手に入れずとも国を十分潤わすことができる。
そして、この宴でシロ・アマギは本人の知らぬところで、この国最強の剣と盾そして伝説を手に入れることになった。
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