二階
目覚めた時、暗闇の中俺の上に何かがいた。
「重い…。」
上のものをどかそうと掴んだ感触は手、小さい手。
「コト…か」
てことはここは二階か、どれくらい寝てただろう。
下は静かだな。
もうみんな帰ってしまったんだろうか。
「ん?とうちゃん!」
「おう。あ、いててて。」
起きようとすると背中がヒリヒリする。
「とうちゃん、だいじょうぶか?」
「ああ、平気だ。」
『ガチャッ』
「ああ、起きたんですね。大丈夫ですか?背中。」
そう言いながら濡れタオルと桶を持ったアヤセさんが入ってきた。
「大丈夫ですよ。」
「背中冷やすんで、うつ伏せに寝て下さい。」
「あ、大丈夫です。コトにやらせますから。」
「いえ、やらせてください!わ、私も今日怪我させちゃったし。」
まだ気にしてたのか。
「うん、じゃぁお願いしようかな。」
「はい!」
「コトちゃんは、こっちおいでぇ。」
サラサさんの声がする。
「お姉ちゃん!?覗きに来ないって…」
コトは微妙に俺の顔色をうかがっているようだ。
「コト、みんなに迷惑かけないようにしろよ?」
「うん!でも…ほんとーにいいのか?」
「卵はなしだぞ。食い過ぎだ。」
「わかった。」
「サラサさん悪いですが…。」
「平気、平気。」
ヒラヒラと手を振りコトと手をつないで下へ降りていった。
しばらくして、また下が騒がしくなってきたようだ。
きっと、寝ていた俺に気を使っていたんだろう。




