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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
42/166


 「「「「かんぱーーーい!」」」」


 「なんだこれは!」


 「うひょーーー!ンマッ!」


 「チーズってこんなにおいしかったんだ…。」


 「ん。おいしい。」


 各々が燻製を味わい、用意した酒に口をつける。


 お酒の飲めないアヤセさんに冷たく冷やし、ハチミツを加えたカフェラテを手渡す。


 「ミルクのアレンジです。」


 コーヒーはドワーフ以外飲まないと聞いたしこういう表現のが別け隔てなく飲めるかな?


 「ミルクって子供じゃないんだから。」


 とアヤセさんは手渡された手前、遠慮がちに口をつける。


 「おいしい!ナニコレ!?どうしてこんな味なの?」


 「どうしたの?」


 興味をもったサラサさんがアヤセさんのグラスを取り上げ残りを一口で飲み干した。


 「あああああ。お姉ちゃん!それ私の!」


 「ん~。おいしいわね。お酒じゃないのが残念だけど。」


 「アヤセさん。まだありますから。サラサさんもお酒で割ってみますか?」


 自作の芋焼酎は癖が強くない。


 これならカルアミルクに近い味が出せるかもしれない。


 その後も俺はホスト役として、焼酎や料理の説明に追われつつ忙しく動きまわっていると、部屋の隅で珍しい取り合わせを見つける。


 先程、険悪なムードで一触即発だった。


 ティファとおやっさんだ。まぁ、モメないならいいか。


 魔法は間近で見てみたいが、家の中ではゴメンだ。


 一通りの説明と挨拶を済ませると自分で注いだ芋の水割りに口をつける。


 と『クイックイッ』


 肘のあたりをひっぱられる。


 「ん?ティファ?」


 「ん。ハサミ…」


 「ハサミ?」


 「ドワーフ、売ってくれない。シロ…許可。」


 ああ~、おやっさんは俺に禊を立ててるのか。


 大量に出荷されても困るけど。


 別にいいのになぁ。


 「ティファは、ハサミが欲しいの?」


 「欲しい。あれはスゴイ。」


 「そか。じゃぁ一緒に頼みに行こうか。」


 俺はティファと手をつないで、やっさんの元へと向かう。



 「あ~ら、ライバル登場?」


 「ぶっ!!な、なんのコト!?」


 サラサとアヤセがその光景を遠巻きに見ていた。


 「意外とやるわねあの小動物。」


 「小動物…って。まだ子供じゃない。」


 「何いってんの?あんたと同い年よ。アレ。」


 「え!?」


 「修道服で上手く隠れてるけど、着痩せするタイプね。」 


 「嘘っ」とグラスを握る手に力が入る妹を見てお腹を抱えて微笑う悪趣味なサラサだった。


そろそろ忘年会シーズンですね。

お仕事をしてる方は楽しくもあり、忙しくもある季節ですが、お体に気を付けて。


読んで頂いてありがとうございます。

感想や評価、ブクマして頂くとより多くの方に読んで頂けるきっかけになり、筆者のモチベーション維持に役立ちます。

宜しくお願い致します。

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