かぼちゃ
「セットとグラス何人分いります?」
「ん~、六人分くらいかなぁ。なんとかなる?」
自分の分はまぁなんとかなるし。五人?かなぁ
「大丈夫です。それじゃ持ってきますね。」
「あ、俺も行くよ。大変そうだし。」
おやっさんに留守番を頼み、隣の家へと食器類を借り受けに行く。
アヤセの後をついて、はじめて隣人宅へと足を踏み入れた。
いい匂いだなぁ。
「ん?あら、珍しいお客さんね。」
居間らしき場所には、ソファに寝そべってなにか甘そうなクッキーのようなものをくわえたサラサさんがいた。
「お姉ちゃんっ!?はしたない。」
「いいじゃない。自分の家なんだし。それでなんでお隣さん?」
『パリッ』
クッキーを軽く噛み砕く。はしたないと称された、その仕草さえもなにか小悪魔的な魅力となって男を虜にしそうだ。
「今日急にお客さんが来ることになったから、食器とグラス…えーと。お姉ちゃんどこにやったけ?」
「ああ~。それなら外の物置よ。」
「あそこか…。来てもらってよかったかも。」
庭先に建てられた物置まで引っ張って行かると。
「此処の上です。」
どうやら物置の屋根裏的なスペースに置いてあるらしい。
アヤセは勢い良く物置の扉を開け、少しだけ外より薄暗い室内に掛けられたはしごに登る。
いや、アヤセさんは見た目通り元気なコだな。
動きも軽快だ。たぶん運動神経もいいんだろう。
女子校にでもいたら同性にも人気が高そうだなぁ。などと考えていると上から声がかかる。
「あの倒れないように、はしご抑えててもらっていいですか?引っ張りだしてるうちに倒れそうで…。」
「ああ。俺がやろうか?」
「だい、じょうっぶっでっす!」
ふと見上げるとひらりと舞う布の奥に
白い布が…。
「かぼちゃ…?パンツ?」
「ひっ!いやっ。みないでっ!」
読んで頂いてありがとうございます。
私のもう一つの小説【パラダイス ロスト】も、ことしろ同様よろしくお願いします。
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