師匠
宴の続きです。
戦争は定期的に起こる。おこれば多かれ少なかれ人は死ぬ。
孤児などめずらしくもないのが現状だ。それでも最近はコイツのおかげで無駄な戦闘は減ってきている…が。
目の前で女性とイチャつく姿は、【戦場の狼】という字名とは程遠い。
「師匠を思い出すのなら強い以外に…。性格が悪いのか?それともそいつエルフなのか?」
スゴイ言われようだ。師匠。
「いや、人族だった気がする。」
「なんだよ。それすらわからねぇのか?」
「フード付だったからね。」
『ガバッ』
「魔ぼうじゅがいいかっ!!」
「汚いよ。アグエロ。」
口の中の食べ物をまき散らし興奮気味にくっちゃべるアグエロを落ち着かせる。
「わからない。あまり見たことのない服だったから。違う国の人だと思う。」
「わからねぇことだらけだな。それを聞いてる俺はもっとわけがわからんが。」
「うちの影に調べさせるか?」
「うんうん。やめとくよ。そういうんじゃないだ。
ただ、なんとなく師匠と同じ香りがしただけだよ。」
「あんなのと同じ香りとか、ちかよりたくもねぇ。ぺっ。」
こんなことを言っているアグエロも言うほど師匠を嫌ってるわけじゃない。
師匠が死んだと聞いた時、一番泣いてたのはコイツだ。
僕は、僕は泣けなかった。
ただその場で呆然としていた。
信じることが出来なかった。
あんなに強い師匠が、死ぬなんて。
「なにをしんみりしてやがる!飲め!おい!歌を!陽気なやつを頼む。」
そうアグエロが告げると、まるでその場に控えていたかのように足早に琵琶のような弦楽器と鼓のような太鼓を持った男が演奏を始める。
すぐに踊り子が五人がやってきて、その音楽に合わせて踊り始めた。
リオンとアグエロは同じ師匠に師事した親友同士です。
読んで頂いてありがとうございました。




