お迎え
シロとリオンが表通りを歩きながら、アグエロとアルフィの待ち合わせしているという場所へと向かう。
表道り、所謂メインストリートにあたるこの道は、常に人で賑わっており結構なスピードで荷馬車が往来している。
スピード規制したほうがいいんじゃないか?ふとシロはそう思うのだが、今まで大きな事故等は全くないそうだ。
「え?リオンさん一緒に来ないんですか?」
「うん。悪いね、今日これからお世話になった人の護衛でね。あ、心配しなくていいよ。ちゃんと迎えは呼んであるから。」
「迎え?」
「そう、あっ見えた見えた。」
………。
…ああ、いたな…アイツも。シロは一気に肩を落とす。
リオンに指し示された場所に視線を合わせると、生地屋の前にあまり見たことのないコンビが立っていた。
銀髪のロリ娘とヘンタイメイド。
見ようによっては、どっかの貴族の娘とお付のメイドといった風に見えなくもない。
貴族のお嬢様が軽鎧を着けて街をお出かけするかはさておきだ。
特に二人共しゃべるわけでもなく無言で店頭に佇んでいる為、その美貌だけが際立っている。
実際、彼女達の前を通り過ぎる男性は、二人の姿をチラチラ何度見するのかと言うくらいに二度見する。
「つか、なんで生地屋?」
「私、用事あった、注文。」
シロとリオンが、彼女達の前に到着すると、深々と礼をするアリエッタと、相変わらず小さい声で何故か片言のティファ。
「やぁ、待たせてごめんよ。ティファ。それにアリエッタ嬢もご苦労様。」
じっと絡みあう視線に、それぞれが意図としないプレッシャーを感じながら、取り敢えずという風にアリエッタが説明を買って出る。
「なんだティファはリオンさんと一緒に仕事なのか。」
「…残念?」
「…いや、別に。」
少しムスッとした少女を慰めるかのように、リオンが通りの向こう側を指さした。
「ほら、ティファみんな待ってるよ。…それじゃシロ君、アリエッタさん。悪いけど、アグエロの事頼んだよ。」
「お任せ下さい。わたくし不承アルフィ様の第一メイドとしてしっかりとお仕事を全うさせて頂きます。」
「ご意向には添えないこともありますよ。」
間逆なことを言う二人に苦笑いしながら、リオンはバタバタ暴れているティファを持ち上げ、通りの向こう側へと走っていった。
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