騎士
「あまり、関心はしないな。」
スッと現れた男はローブ姿ではなく、騎士といった出で立ちのイケメンだった。
髪の毛はそれほど長くなく清潔感が保たれており、見るからにやさしく誠実そうなその外観は、この世界でもAクラスのイケメンだろう。
「こんな小さい女の子に全力で剣をふるうなんて…。正気かい?」
ソッとコトと女の子に差し出された両手をコトと女の子は少し怒り顔で無視している。
「おや、なにか気に触ることでも行ったかな…。」
イケメン騎士はおかしいな?とか言いながら
尻餅をつく形でコトの前に出た俺の前にバッと立ちふさがり。
「まだやるつもりなら、僕が相手になるよ。」
カッコイイな。おい。
男なら一度は口にしてみたいセリフだ。言われたら吐き気がするけどな。
筋肉兄弟は、剣を拾い上げ俺をひと睨みしその場から逃げるように立ち去った。
「大丈夫かい?」
差し出された手を握り返すと、軽々と俺を引き起こす。
俺が軽いのもあるが力もすごい、これは腰に下げてる剣も飾りじゃないな。
「どうも。危ない所有り難うございました。」
俺は深々と礼をする。
「いや、当然のことをしたまでだよ。
冒険者ギルドという看板の前でこうも堂々と不条理を見過ごすような見せかけの冒険者より君は勇気がある。」
「コト!来い。お前も礼を言え。」
少し後ろでなにか気に入らなそうに騎士を睨みつけているコトに声をかける。
子犬のように「ウウゥゥゥゥゥ。」と高い声で威嚇するようにしている。コトの首根っこを捕まえ。
無理やり首を折る。
「すいません。コイツガキなんで。」
イケメン騎士は、少し興味深そうに俺を見つめ。
「弟さんかい?」
「とうちゃんの出番をとるな!とうちゃんはお前みたいのに助けられる程やばくない!」
『ガシッ』
イケメン騎士のスネを蹴りあげ、コトは不機嫌そうなまま道に散らばった果物を集め始める。
唖然とはこのことか。何が起こったのかしばし呆然と立ち尽くしていたが。
「俺はやばいのか?」
やわじゃない…じゃないか?それ。
「プッ。アハハハ。
ああ、ごめんごめん。ヤバイはいいね。
面白いねその子。とうちゃんて君の子供かい?」
「はぁ、成り行き上…。
あ、すいません。その蹴られた所大丈夫ですか?」
「あはは。大丈夫気にしないでほしい。
きっとお父さんの見せ場を奪ってしまった僕にお冠なんだね。」
「それに、君は…。」
「おい、リオン!そろそろ行くぞ。」
後ろから彼のお仲間らしき男から声が掛かる。
戦士系が2人。一人は白い修道服?。
「ああ。待ってくれ。
じゃぁ、また。」
また?
「あ、はい。本当に有難うごいました。」
もう一度礼をすると、リオンと呼ばれたイケメン騎士は雑踏の中へと消えていった。
イケメンはいつの世も正義です。
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