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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
129/166

新たなる

 「ここまでくると、シロ君の有名人引き寄せパワーは本物だね。」


 少し前アグエロとそんな話をしていた気がするなと思いながら、リオンはグラスに注がれた琥珀色のエールに似た飲み物を口にする。


 もう二杯目のビールだが、口の中に含む度、弾けるような刺激が舌先を突き刺す。


 そのまま喉へと流しこむと、まるで喉が洗い流されていくような爽快感に支配されていく。


 一口で酒飲みの誰もが魅了される苦味と刺激、こんな飲み物は飲んだことがない、いや聞いたこともない。


 多分、この世界のどこにもこんな飲み物は、存在しないんじゃないのかと思えるほど画期的な飲み物である。


 「ドヴァーリンさんやアグエロがシロ君を特別視するの理由がわかるよ。」


 ティファの持っていたハサミという刃物も、ナイフを二枚重ねて挟んできるという、その発想がすごい。


 この前飲んだ芋焼酎も、鼻に抜ける独特の香りがたまらなく癖になる、濃い酒なのにフルーティという今までなかった味だった。


 肉やチーズを使った新しい保存食もそうだ。今までは、ただ塩漬けにした肉を乾燥させた干し肉しかなかったが、狩りなどで何日も遠出する時の携帯食は劇的に変化した。


 まだ蒼炎とマッスルブラザーズしか知らないが、いずれ世界中に広まるだろう。


 そして、誰にも媚びず従わず、生まれたその地を離れることがないという聖獣。


 伝説とまで呼ばれ、最近では表舞台から姿を消していた歴戦の勇者たちまでもが集う。


 アグエロが前にいっていた、人を惹きつける能力…とはこういう事を言うのかもしれない。


 過去戦乱の中、数多あまたの英雄や伝説が生まれそして歴史の中へと消えていった。


 あるものは、剣の才でその地位を手にし。


 あるものは、魔法の才でその地位を手にし。


 あるものは、優れた才覚によって軍を導き。


 そのどれもが、争いによってその力を堅持してきた。


 僕達は今、新しい世代の伝説が生まれる瞬間を見ているのかもしれない。


 


 小さな頃から、その類まれなる武の才によって、伝説や英雄と並べ比べられていたリオンだからこそ、そう素直に認められたのだろうか。


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