レジェンドハウス
「ティファ寒くない?」
「ん。」
詰め所を出る頃になると、外の空気は一段と冷たくなっていた。
一人の少女と二人のイケメンがすれ違う数少ない人の視線を集めながら、ゆっくりと歩を進める。
「シロ君には逢えたの?」
「……。」
「そう。」
どこか元気のない少女の姿を、片一方は今日の不審者騒ぎで相手を逃したせいと思い、もう片方は確信を持ってシロに会えなかったせいだと思っていた。
「…よし!ティファ行ってみようよ。」
「えっ?」
「シロ君ち、あのお酒をワケてもらいたかったんだ。」
「おう!あいつんちか、どうせ一杯誘おうと思ってたんだ!行ってみようぜ。アイツの酒は他では味わえないほど美味だからなぁ。料理も少し変わってるがうめぇし大賛成だぜ。」
ティファが目を大きく見開き、二人を交互にきょろきょろ見ながら
「う、うんっ!」
パーッと明るくなった満面笑みは、そこにいる二人の男だけではなく、回りにいた暇そうに店番をしている男や、客引きをする居酒屋の店員までもを魅了した。
アウレリオはコイツこんなに可愛かったっけ?という表情でリオンにアイコンタクトを試みる。
それを察知したリオンは苦笑いしながら、この健気な少女の恋を応援してあげようと心から思うのであった。
「ん?そうか、お前等は初めてだったな。コイツがあの悪名高いディアンジェラだ。」
「「「!?」」」
伝説が伝説を紹介するという展開に、三人が三人目を見開き、それぞれ違った意味でびっくりとした表情を見せる。
アウレリオはこの国最大の問題児がこれ程の美人であることに、リオンは目の前に二人の伝説が揃っていることに、ティファに至っては、この部屋に入るまで完全にその魔力に気付けなかったことに脱力していた。
「「「この女が問題児」」」
「ハァ~イ!」
まるで興味が無いかの如く軽く手を振り、自分は持ってきたワインをまるで水のようにがぶ飲みしている。
ティファ的にはシロに会いに来たのに、その家主は何故か眠っており、その家には顔見知りの美女と新たな美女が登場と、頭を抱えたくなるような現実に考えが追いつかず、結局お酒に溺れていく中年オヤジのような状態で、後程シロと再会することになる。
「俺、ここ伝説ハウスって呼ぶわ…。」
アウレリオは半分、呆けながらリオンに囁いた。
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