冒険者達
どんな世界にも不思議な奴らはいるものだ…。
まぁ、この世界の人間にしてみれば、俺のほうがかなり変わってるらしい。
おあいこか。
でも、あれと一緒位されても困るな…。
うん。
絶対イヤだ。
「…本当にあるんだな…。
冒険者ギルド。」
冒険者という職があることは聞いていたが、こうギルドの建物を目の当たりにするとファンタジー極まりない世界なんだと実感する。
「ここで何買うんだ?」
俺は視線を少し落とし、コトを見つめる。
コイツ最近買い物ばっかしてたから、出掛けりゃ買い物だと思ってるのか。
いや、学習した?…どうでもいいか。
「今日は調べ物だ。」
「そうか!じゃぁ、いくか!」
冒険者。
地方によってはハンターとも呼ばれる。
その仕事は、大体俺がラノベや漫画で読んだ通り。
近所の雑用から猟、魔物退治まで。
俺は無職だ。自信満々に言うことでもないが、事実である。
当面の生活費に困ることはない。
だが、日がな一日寝て過ごすわけにもいかず、節約もそうそう続かない。
欲しい物や必要なものは増えていくばかり。
時に、ドワーフのおやっさんにオーダーする特殊な道具類は、おやっさんが結構勉強してくれているらしい。
いつまでも、それに甘えるわけにもいかない。
そういう訳で、一応今日は様子見に来たわけだが。
――――――
話には聞いていたが、ガラが悪い奴も多いな。
気にしたら負けか。
この世界で俺は悪目立ちするらしい。
幼い顔立ちの癖にガキを連れている。
加えて、この黒髪が珍しいらしい。
それに服装も基本的に、元の世界のものを着用している。
ある程度目立たないように自分で加工はしたが。
パーカー、所謂フード付きというのが特別を表すらしい。
魔法使いの証。
よく小さい子供が憧れからそういうローブを着ることがあったり、冒険者でも同じ理由で着用している奴がいるせいでそれ程問題になることも多くないが。
出るトコに出ればそれはいい挑発の種になる。
だが、俺はこれに関しては変える気がサラサラない。
理由は、面倒臭いの一言に尽きるが、他にも理由は…。
「なんだ~?」
「おいおい、久しぶりに見たな。フード付のヤツなんて。ひゃははは。」
下品な笑い声がこだまする。
だが、意外とこういう奴は口だけで物理的に攻撃を仕掛けてこようとはしない。
良くも悪くも臆病なんだ。まぁ、それも長生きする秘訣だと誰かが言ってたっけ。
俺は特に気にすることもなく、カウンターのお姉さんに話しかける。
しばらく一通り説明を受けるが、今日は登録はしないことにしてその場を後にしようと。ふと隣を見るがコトがいない。
「あれ?」
さっきまでココでじっとしてたはずなのに。
もしかして…。
嫌な予感がして先程のチンピラ風情に視線を向けるが、もう興味をなくしたのかなにかコインを回してゲームに興じている。
アイツ何処行ったんだ?
その時、何か悲鳴のよな声と怒号が同時にこだまする。
外か!
受付嬢を置き去りに、素早い動きで玄関口まで移動すると勢い良くドアを蹴飛ばす。
一日二話ペースが来週まで維持できるといいなぁ。
読んで頂き有り難うございました。
ブックマークしてくれた方うれしいです。
有り難うございました。




