残り香
ふわっふわだ…なんか久しぶりの感触だ。
自分の身体が何かに包まれて沈んでいく感じが心地良い、これはあ~なんか甘いいい匂いがするし。
すごいわっさわさするけど…わっさわさ?…。
『ガバッ』
また俺は、かぼちゃの刑でブラックアウトしたのか。もはや呪いだな。
「ここは!?」
俺はキョロキョロと周りを見渡すが、なにか目の前がぼやけて見える。なんだ?布?
目の前にベールがかかったような光景。
「お目覚めね?ていうかなにを人のベッドで暴れてるのよ。」
「あ、かぼちゃ。」
「…また蹴り倒されたいのかしら?」
アルフィってことはここは…。
「私の家、そしてここは私の部屋よ。」
ああ、所謂これはお姫様ベッドってやつか…天蓋付きのベッドだ。
ベールをたどって天井の方を見てみると、リースやビーズのようなもの?まで装飾が豪華だ。
ん?このベール…レース?すごい!手触りも悪くない。この技術があるなら下着のバリエーションも。
俺は暫くじとっと見つめる視線に気づかず、怪しいの行動をしていたに違いない。
「ヘンタイだとは思ってたけど…あんた人のベッドに頬を擦りつけてなにしてんの?」
「あ、いやそのこれは…。」
改めて、今の自分のやっていることを認識すると、明らかに危ないやつだ。
美少女が毎日使ってる、ベッドに身を沈め辺りの布の感触を確かめている。
何か言い訳をしようとした時。
『カンッカンッ』
扉を金具で叩くような音がした。
「誰?」
「お嬢様、アグエロ様がお見えです。」
「兄様が?…めずらしい。誰かが報告したにしては早いわね…なにか嗅ぎつける鼻だけは犬並なんだから。」
「すぐ行くわ。…貴方も異常ないなら一緒に来なさい。」
少し見下されながら俺はそそくさとアルフィの後に続いた。アルフィの後ろをついて歩いていると甘い残り香が鼻をくすぐった。
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