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ことしろ  作者: 無色瞳明
第一章
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ツンデレ

 手にとった刃物をじっと見つめ、銀色の刃に紙をスッと通してみる。


 紙はクロス状の刃はすり抜け、ひらひらと二つに舞いパサリと落ちた。


 切れ味鋭すぎ…。


 これじゃ最早、武器だよ。


 「どうだ?小僧。」


 「形状は金兼良好です。ただ…。」


 「ただ…なんだ?はっきりいえ。」 


 難しい表情でもしていたのだろうか、すぐに表情を読み取られそう告げられる。


 「あー、切れすぎなんです。

 切れ味が尖すぎて手軽に使えません。

 紙や布、俺の場合は髪を切る道具なので。

 これだとまるで包丁かナイフみたいで…。」


 顎に手を当てフムフムと相槌を打つおやっさんは


 「切れ味を落とせばいいんだな?刃の大きさや噛合は問題ないか?」


 「はい。刃の大きさを変えれば用途に応じたものが出来上がります。」


 「ふむ。」


 「例えば、俺がオーダーしたのはこの大きさですが、一回り大きい物ならでかめの布地を切ったりするのに便利です。」


 「持ち手の所も小さめに作り、切れ味を更に落とせば子供用になります。」


 それから暫くハサミについて色々レクチャーした後、試作の切れ味するどいハサミとカラフェ豆を持たされ店を追い出された。


 「仕事だ。」


 何よりも優先してハサミ作りに没頭しているんですと若い店員に言われた時は少しびっくりした。


 「ツンデレっぷり…ハンパねぇ。」


 


 家に戻り、昼寝していたコトを叩き起こすと、昨日から制作し始めたベツド作りに取り掛かる。


 あまり日曜大工など得意でもないが、買うと馬鹿みたいに高いことが発覚したので、おやっさんのツテで木材を譲ってもらい自分で作ることにした。


 もうすでに枠組み部分はほぼ完成しており、コトと共にヤスリ掛けながら、夜には出来上がるといいなぁとのんびり雲を眺めていた。


 「なぁ、なぁ。」


 「ん?なんだ?」


 「じいちゃんトコ行ってもいいか?」


 「ん~だめだ。じいちゃんは今日は仕事だ。」


 「そうか。…ってなんでしってる?ちょーのーりょくとかいう魔法か!?」


 お前が寝てる間に行ってきたんだよ…。


 「ああ、そのくらいの事なら大体な。」


 「さすが、父ちゃんだな。」


 あ~なんかコイツとはなししてると無性にたばこを吸いたくなるのは何故だろう…。

 もうやめてから、五年以上立ってるのにな。

 それ以前にたばこなんてみたこともないが、あるのかな?この世界に。


 疑問は尽きないな。


 ヤスリがけが終わり、組み立ての前に部屋へと材料を運び込む。

 過去何度も、組み立て式のベッドが玄関ドアを通過せず分解組み立てを繰り返した悪夢がここで役に立った。


 とりあえず二階のゲストルームに設置することにする。

 大体、うちに客が来るとは思えないしな。


 「さ、メシ前に終わらせよう。今夜はベッドで寝たいしな。」


 「おお!」


 ただし運ぶとなると、コトは全く役に立たないわけで。

 これは翌日筋肉痛だな。

 おっさん臭い考えが頭に浮かぶ。


 どう見ても外見的には十六、七歳にしか見えない今だが考え方は変わらないらしい。


 

 結局この後、コトがニスをぶちまけ部屋の換気に数日を割くという結果になる。


読んで頂きありがとうございました。


三連休は出来るだけ書こうと思います。

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