余乃弥美驟雨の物語 〜悪魔とコイに堕そうになる俺〜
思いつきで浮かんだ小説ですが、一気に最後まで書けたのでよかったと思います。この小説について思ったことがあれば感想、またはメッセージで送ってくれると反応しやすいのでよろしくお願いします。
俺は今、悪魔とコイに堕ちそうになっている。
「だーっ!!しっかり掴め!」
「やってるって!」
彼女は綺麗だ。そして、足だって細い・・・
「いつまで私の足を掴んでるのよ!」
「お前がもとはといえば悪いんだろうが!」
顔を上げればパンツだって見ることができそうなこの状況・・・・
「き、来たぞ!奴が顔を出した!」
「マジ!?って、何!あの大きさは!?」
「この状況じゃ捕獲も何もできねぇぞ!」
この状況、少し前にさかのぼる。
俺の名前は余乃弥美驟雨。
人類とそうでないものたちが平和に暮らしているといえば聞こえがいいのだが、裏ではさまざまなことが起こっている。そういうのを解決するのが俺の仕事なのだが、今回は簡単だと思って手を出した。無論、そういうのを職業としている連中は結構いるのだが、俺の場合はどうやら貧乏くじを引いてしまったようだ。
「裏井戸に鯉を落としてしまって・・・捕獲してくれんか?夜に外を出歩くと危険だからのう・・・」
そういわれて俺はのこのこ夜に裏の井戸に行ったのだ。そこいらを歩いていた悪魔に事情を説明して報酬半分個と言うことで協力を得たのだが・・・・
「のわっ!何をするんだ!」
「へっへっへ!契約も結んでない悪魔を信用するとは愚かねぇ!」
俺はその悪魔に突き落とされたのだった・・・・だが、
「くそぉ!道連れじゃあ!」
がしっ!
「なっ・・・」
井戸ぎりぎりにいた悪魔の足を掴んでそのまま井戸に落ちる・・・しかし、悪魔のほうは運よく井戸の端を掴むことに成功したらしい。それから数十分経って今の状況に至っている。
「ぜ、絶対に離すなよ?落ちたらあのコイに食われる!」
「誰が・・・離すもんかぁ!って、あんたが落ちればいいんでしょ!」
「元はといえばお前が俺を突き落とすからこんな状況になってるの!」
「顔を上げるな!パンツを見るな!」
「てめぇもきちんと片手で掴んでないで両手で端をつかめや!助かったらきちんと謝ってやるからよ!」
ざぱーん!
井戸が深くて助かったといえよう・・・下のほうではめちゃくちゃでかいコイが口を上のほうにしてパクパクしている。しかしまぁ、なんであんなに大きくなってるんだ?聞いた話じゃもっと小さいはずだったと思うのだが・・・
「何かいい方法はないの?」
俺は悪魔の動く尻尾をじっと見ていて急に頭に電流が走ったようになった。
「・・・ある」
「どんな?」
「・・・男の肉はおいしくないだろうから・・・」
悪魔の足を掴んだまま、井戸の壁に足をつけてそのまま上に上がる。そして、自分だけ取り合えず井戸から這い上がると・・・・
「・・・お前を落とす。残念ながら俺は悪魔とコイに堕ちるほど落ちぶれちゃいないんでね♪」
必死に掴んでいた悪魔の手をはずしてそのまま落とす。
「ひ、卑怯者〜!!」
そういいながら悪魔は堕ちていった。さようなら、一時の恋人よ・・・人は他人を蹴落として上に上がっていくもなのだ。まぁ、もっとも・・・・
ばくっ!
悪魔は見事コイに飲まれたようだった。
「よっしゃ、ヒット!後はお前の日ごろの行いがいいことを信じてろよ!」
もって来ていた特殊な紐を思いっきり引っ張る。
「ふにょぉ〜根性!根性!」
俺の力がどのくらいかわからんが、とりあえず紐はだんだん上に上がってきて・・・・
「せりゃあああ!!」
コイがそのままお月様にその姿をくっきりと残すと近くの池に着弾。思いっきり引っ張った紐はそのまま俺に直撃・・・・
「ぐはっ!!」
「きゃああ!」
どうやらこの悪魔の日ごろの行いはよかったようで、飲み込まれてはいたものの、どこにも怪我はしていなかったようだ。
「あいたたた・・・・」
「あ〜よかった、何とかこれで報酬はもらえるぜ♪おじいさ〜ん、俺、貴方のコイをつかまえましたよ♪」
お尻をさすっている悪魔を置いたまま、俺は依頼主であるおじいさんの元へと向かったのであった。
「・・・おじいさん、これ・・・なんでしょう?」
「これかぁ?これはなぁ、先祖代々我が家に封印されていた刀じゃぁ・・・・ちなみに、掴んだらお前さんが死ぬまでつきまとわれるぞぉ・・・」
「お、おじいさん!俺、掴んじゃったんですけど!刀ってどんな感じかなって思って掴んじゃったんですけど!」
「何?この若者が気に入った?ほっほっほ、元気のいい若者はわしも好きじゃあ、お前さん、話がわかるいい奴じゃなのう・・・」
「じいさん!誰と話してるの?え、何刀に視線を送ってるの?こ、こんなのいやぁぁぁぁぁ!!」
「ね〜報酬もらったんでしょ?約束どおり私に半分ちょうだいよ!」
「・・・・すまん、それが色々あって半分個しようにも出来なくなったんだ・・・」
「なんでよ!その刀なんでしょ?」
「・・・・そうだよ、そうなんだ!そんなに欲しいなら、この刀を上げよう。何、すぐに売ってくれば来ればいいからね♪大丈夫、きちんと君にも所有権は半分あるから・・・・いや、打ったお金は君が全額もらって構わないよ♪」
「え、マジ?うれしい!」
思ったとおり、自分では取れなかった刀は悪魔が掴むことで簡単に取れた。そして、駆けていった悪魔をよそに、俺はその場から一刻も早く逃げ出したのだった。所有権はあっちの悪魔にもあるので今頃ひっついて取れなくなっているに違いない。くくく・・・・いいざまだな!
「それ、逃げろ〜」
「まてーい!これ、とれないじゃないの!どうなってるの、これ?」
「俺のせいじゃなーい!!」
悪魔をまくのにお金を何枚かまかなくてはいけなくなったことが俺の一生でもっとも恥じるべき行為だっと日記に書いてしまった俺だった。