買い物に行こう・1
今日のご飯は和風ハンバーグ。メイドであるアレハの作ってくれた夕食を4人で食卓を囲んで食べる。
イルハとアレハで得意料理が異なるから、毎日交代で作ってくれる。アレハは和食でイルハは洋食が得意だ。
どっちも美味しい。
私よりも料理の腕は確実に上。1人暮らしで作っていたはずなのに、あまり上達しなかったらしい。その時はそこそこだと思っていたんだけどね。
「すりおろした大根美味しいー。ソースと絡まって、それがまたハンバーグにあってて癖になりそう」
こんな美味しい食事を毎日食べれるなんて、なんて幸せ。
「私もマスターに喜んでもらえて嬉しいです」
「アレハ!」
「マスター」
「大好き!」
ギュッとアレハに抱きつく。私は一応アレハのマスターになるんだけど、気分的にはアレハはお母さんみたいというか。すっごく頼りにしてる。
7歳の頃から10年間。甘やかされてるしね。相変わらず、アレハにくっつくとふわふわとしてていいなぁ。
「姉さん。明日なんだけどさ」
「うん?」
「中央に行きたいんだ。一緒に行ってくれたら嬉しいな」
ライちゃんの頼みに、私は考える事もなく頷く。
「でも突然だね」
「ん。中央に行く事は前から考えていたんだけど、新しい封玉が売り出されたでしょ? それに興味があってさ」
「新しい封玉かー。そういえば新聞に載ってたよね」
記憶を思い起こしてみれば、中央の街で新しい封玉が開発されたという情報を見た事がある。今までよりも強い呪文が閉じ込められているとか。
ライちゃんも私もまだ魔力に余裕があるから、気に入ったものがあれば購入した方が得だろう。
「いつ買いに行こっか?」
数年間の間ハンターとして稼いだお金はあるし、ちょっとしたアイテムを売って儲けた分もある。
それなりの玉を買う余裕もあるから、今すぐに入手しても問題はない。
「いつでもいいんだけど…」
「それじゃあ今日今から行く?」
「うん。行く」
姉さんありがとう、とはにかんだ笑みを浮かべるライちゃん。
本当に可愛いなぁ。気分はすっかりと親馬鹿だ。
ライちゃんが生まれた時からずっと面倒を見てるから、感覚が親馬鹿になっても仕方ないよね。
すっかり仕方ないという事で開き直って、親馬鹿ぶりを発揮してるけど、今の所問題は全くといって良い程ない。
いちゃもんをつけてくる相手がいたら、叩き潰せるぐらいの実力は身につけたし。チート能力を使いつつ身につけたんだけどね。
それを考えると、随分とこの世界に馴染んだなぁ、としみじみと思ってしまう。私が温かいお茶でほっこりとしている最中、アレハとイルハが互いの使い魔を身ながら話し合ってる。多分私の影に入れる使い魔を選んでいるんだと思う。
2人の使い魔を使うと、私と離れていても明確な情報が2人に届くので、外出の際はよく影に潜めさせている。
ちなみにだけど、この世界に生まれてから知った事だけど、アレハとイルハも召喚師の刻印がある。
どうやら特殊メイドと執事のアレハとイルハは、プレイヤーの相棒とし、カードバトルに参加出来る特殊な召喚獣らしい。
なので100枚程だけど、自分用のカードを保持してる。今は少し増えたのかな。アレハとイルハの2人を具現させて10年経つし。2人とも強いからね。
「マスター。私のルルを影に潜めます」
「マスター。私はリルを影に潜ませて下さい」
「…ん。わかった」
こういう時の2人には逆らわない方が良いので、素直に頷いておく。
「でもルルとリルかー」
ルルとリルはすっごく可愛いんだよね。
動物好きの私としては、一日中撫でくり回しても足りない。可愛すぎる使い魔だったりする。この2匹は、Mダックスフンドをモチーフにした使い魔で、短い足で世話しなく動くのが可愛くて可愛くて。
ルルがレッド。リルがブラック・タン。
相手を挑発する技で、後ろ足で砂をかけるというものがある。
「…マスター。ルルとリルに護衛は必要ありませんよ?」
「……」
イルハの言葉に、私の肩が揺れた。
2人からはやっぱりと言わんばかりに溜め息を落とされたけど、これは仕方ない。だって可愛いんだもの。
「つけるとしたら、ハートのクィーンとエースだよ」
cocleaのバトル時のカード枚数は54枚。トランプの数と同じ。
だからなのか、cocleaにはトランプシリーズのカードが沢山存在している。春のトランプシリーズ。四季折々の春夏秋冬。それぞれの季節毎のカードもあるし、不思議の国のトランプ。
動物シリーズに美女美男シリーズ。兎に角、何でもシリーズにしてもらえとばかりに膨大な種類が存在している。開発者の中にトランプ好きが居たんだろうかと思う程多い。
私も一応全てのシリーズを持っているけど、今回使うのは…。
「冬シリーズを影に潜ませるつもりなだけだよ」
防御には定評のある冬シリーズを使えば問題なし。
「かすり傷はおろか、毛の一本も守り通せる布陣ですね」
「うん」
イルハの言葉に、私は自信満々に頷く。
私の動物好きは前世から変わっていないのだ。




