それから・・・そして
翌朝
「こら!いつまで寝てんの!!もう11時よ?!」
「ん?母さん?」
お!!戻れた!!
ってか、やっぱり夢だったんじゃん。
あー良かった。
さてと・・・・・
ん?
目の前にいたはずの母がいない。
「ん?!母さん?!」
「俺、もしかして幻見たの?」
やばいやばい。
幻聴、幻覚
精神大丈夫か俺。
あーとにかく飯食べよ。
茶の間に向かった。
そこには、昨日と同じ誰もいない。
「ちょっと、期待しちゃいますよね。はい。」
朝食を終え、外に出る。
俺、こんなアウトドア派だったけ?
人いないかなー人!
寂しくなってきたわ。
ほら、ゲームだったらここで、美少女登場―とかあんじゃん?
期待してもいいわけ?
・・・・あるわけないか。
ん?
かすかに聞こえる車のエンジン音。
おっと!美女フラグ!!!
ってか、人か?!
音のするほうへ歩いて行く。
「あー!なんなんだよ!ここは!!」
男の声だった。
あー残念!
とか思ってる場合か俺。
「あのーすみません・・・」
「あ?!え?!人!!まじで?」
「あ!はい。あの、あなたも取り残されちゃった感じですか?」
「んー、取り残されたのかね?とにかく気付いたら誰もいないって感じ。」
「同じくです。」
「まじか!あー良かった。とにかく人いて!美女じゃないのが残念。」
男ってみんな考えること同じなんだね。
「ははは、すみません。」
「いや、謝んなくていいけどさ、てか何で取り残された?」
「いや、それがわかったら苦労しませんよね。」
「あー、そうじゃなくて、取り残されたって表現をなぜ使ったか。」
「ああ、それはなんか自分だけ時間に置いてかれたような気分になって。1分前の世界にはみんないたんじゃないかなー。みたいな。」
「変なこと考えるね。」
「すみません。」
「とにかくさ、会えたことだし一緒に行動しね?」
「ああ!是非!!」
「よし決まり。乗りな。」
そうやって、男二人のむさくるしい生活が始まった。
「で、これからどうする?」
「どうするって、言われましても…」
「だよな。んーこれ以上人探しても無駄な気がしね?」
確かに。俺達が会って1週間以上探し続けている。
「ですね。どうしましょうか。」
「俺達戻れんのかね。元の世界に。」
「このまま、生涯2人きりはいやですね。」
「女の子いればなー。」
「ははは、そうですね。」
「とにかく、戻れる方法さがさねーとな。」
「でも、どうやって?」
「そこだよ!そこを考えるんでしょー俺たちが。」
「そうでした。」
俺たちはこの世界に来てしまったであろうときのことを話した。
2人に共通していたこと。
陽炎のように揺れた目の前。
だが、そのことがわかっても、どうすることもできなかった。
「んーどうすっかなー。」
「もう一度同じ状況を作ってみるってのはどうでしょう?」
「あー、よくあるよな。記憶喪失のときとか。本でさ。」
「はい。行動あるのみかと。」
「確かにな。じゃあ、さっそく明日やるか。自分が取り残された場所で同じことが起きるようにとにかく自分で工夫してやってみる。で、駄目だったらまた落ち合う。」
「わかりました。」
「じゃあ、今日はもう寝るか。」
「はい。おやすみなさい。」
「おう。おやすみ。」