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キサエルとレギオン旅立ちの日  作者: けろよん
サトラ襲来

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15/18

神の新時代宣言

 そこは乾いた大地が広がる荒野の星だった。

 ノースはゲトーと一緒に外に出て、この場所はキサエルとヤウグが決闘したあの星に似ているなと思った。

 もしかしたらキサエルはヤウグと自分達の力を比べるつもりでこの星を選んだのかもしれない。そう思うと自信が無くとも手に力が入らざるを得なかった。


「キサエル様が録画をしてくださっているんだ。かっこいいところしか見せられないぜ」

「大丈夫よ。一度勝った相手なんだから同じように倒せるはず」


 ノースは深呼吸して気分を整えた。

 ゲトーと一緒に待っていると、空から敵が降りてきて大地に立った。クトロアフと一緒にいた見知らぬ少女の方だった。見た感じ小さくて可愛らしい少女で強そうには見えないが油断は出来ない。ヤウグだって自分より小さいくせに強いのだから。

 サトラは宇宙を飛んできた翼を消して動こうとした。だが、その前に人が降りてきて、その動きを停止させて半歩下がった。

 降りてきたのは次元の神クトロアフ。白く長い髪を流し、白と黒のツートーンカラーが印象的な恰好は相変わらずだ。そして、その挑戦的な強い眼差しも前にあんなにやっつけてやったのに全く失われてはいなかった。むしろ、以前より迫力が増しているように感じられる。

 ノースとゲトーは今度こそ気を引き締めた。サトラは一瞬むっとした表情を見せたが、すぐにその表情を元に戻した。

 クトロアフは演説をするような大げさな身振りをして話しかけてきた。


「久しぶりだな、愚かな人間どもよ。この前の見事な戦いをまずは誉めてやろうではないか!」

「この前の戦いの借りを返しに来たんじゃないの?」

「俺達にやられたのを悔しく思ってるんだろう?」

「悔しさなどないさ。お前達のおかげでわたしはあれから絶対なるお方にお会い出来たのだから」

「絶対なるお方?」

「かつて神々が宇宙を支配していた時代、頂点に立って恐れ敬われていた偉大なる神ミザリオル様だ! わたしはあのお方にお会いし認められたのさ! わたしは今こそ宣言しよう。ミザリオル様の後継者としてこの宇宙の頂点に立ち、全てに君臨する偉大な支配者となることをな!」

「何て奴なの。前と態度が全然変わってない!」


 一度勝った相手だからと自分を安心させようとしたノースは不安になってきた。その隣でゲトーは力強く断言した。


「残念ながらそうはさせないぜ。宇宙の頂点に立つのは俺達だからな!」

「策はすでにわたしの手にある。行け、サトラ! お前の力で人の強さを示してみせるのだ!」


 クトロアフは勝手なことだけを言って、空に飛びあがって見物を決め込んだ。サトラはため息を一つついてから前に出た。


「最初から黙って見ていればいいのに、わたしが使い走りみたいじゃない。まあいいわ。あなた達がわたしの前にひれ伏すことに代わりはないのだから」

「サトラ……?」


 その名前をノースは聞いたことがあった。すぐに思い出す。

 エイリスが勝ちたいと言っていた相手の名前だ。自分もヤウグに勝ちたいと思っているノースにとっては印象に残っている名前だった。

 でも、そのサトラが今ここに何をしに来たのだろうか。ノースにはよく分からなかった。

 サトラは礼儀正しく挨拶をしてきた。


「地底帝国六魔将の一人サトラっていいます。エイリスが世話になったそうですね」

「お前、エイリスの仲間だったのか」


 ゲトーは緊張を和らげた。だが、ノースは相手がそう甘くないことを悟っていた。エイリスが彼女のことを話していた時の態度は決して友好的なものではなかったからだ。

 ゲトーもすぐにそれに感づいた。

 サトラは不敵にくすくすと笑い、片手を前に出した。その指から五本の赤い糸が意思を持っているかのように空中をうねり伸びていく。


「エイリスがこの前から調子に乗ってるの。きっとあなた達との体験が原因なのね。だからわたしはその幻想を打ち砕いてあげるためにここへ来たのよ。あなた達をめっためたにのしてやることでね。さあ、あなた達の心地いい感情をわたしに感じさせてちょうだい!」


 サトラの片手の指から伸びた赤い糸の先に鋼鉄の塊が出現し、手足を広げて鉄人形の剣士となって実体化した。


「楽しい踊りをやりましょう。行け! ソードダンサー!」


 サトラの号令とともに鉄人形の剣士が突撃してくる。振り下ろしてくる剣をゲトーは避けた。サトラは面白そうに笑った。


「フフッ、必死になって避けちゃって馬鹿みたい。当てる気なんて無いんだから避けなくてもいいのに。わたしはあなた達に良い気分になって欲しいだけなんだから」


 鉄人形の振り下ろしてくる剣をゲトーは今度は受け止めた。

 避けなくてもいいという言葉を額面通りに受け取ったわけではない。さっきの一撃で受け止められると判断出来たからだ。剣を抑えながらゲトーはノースに向かって言った。


「ノース! こいつは俺だけで十分だ! お前は見てろ!」


 そうは言われてもそうするわけにはいかない。キサエルが期待して見ているのだ。

 ノースは鉄人形からサトラの方へ視線を移す。サトラは薄い笑みを浮かべて見つめ返してきた。

 不安になることはない。鉄人形はゲトーが抑え、相手は離れて立っているサトラだけだ。間に遮る物は何もない。


「わたしも戦うわ!」


 ノースはその手に氷の槍を作り出す。ヤウグでなくてもエイリスが勝ちたいと言っていた相手に自分が勝利出来ればそれはどれほど喜ばしいことだろう。きっと再会した時に自慢話が出来る。キサエルだって期待して見ている。自分がやるしか無かった。


「ノース! 後ろだ!」


 その時、武器を構えて攻撃に出ようとしたノースの耳にゲトーの声が届いた。妙に緊迫した声だった。

 後ろに何があるんだろう。振り返ったそこにもう一つの鉄人形の剣士がいた。すでに剣を振りかぶっている。突き出してくればノースは死ぬ。この人形はゲトーが抑えているはずなのになぜここにいるのかノースには理解出来なかった。


「右手と左手で二つのお人形ってね。わたしがこの指をちょいと引けば君は死ぬよ」

「ノース! くそっ」


 ゲトーは助けに出ようとした。だが、目の前の鉄人形の剣に抑え込まれて身動きが取れなくなってしまった。ノースは凍り付いたように身動きが取れなくなってしまった。どう行動しようとしたところで相手の剣の方が早い。そう意識してしまったからだ。

 凍り付いたような一瞬の時間が過ぎていく。サトラは手を口元に当てて大きくあくびをした。


「ああ、眠い。あ、指引いちゃった。ごめんね~」

「ノース!!」


 剣が突き出されてくる。ノースの喉元へとその命を狙って。ゲトーは絶叫した。

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