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キサエルとレギオン旅立ちの日  作者: けろよん
ノースと不思議なダンジョン

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10/18

ダンジョンの奥へ

 モンスターの群れが現れた。今までのよりも強そうで凶悪そうなモンスター達だ。エイリスは少し引いていた。


「ここのモンスターは弱いと思っていたのはわたしの勘違いなのでしょうか」

「大丈夫。蹴散らせる」


 ミレージアはそう分析する。


「俺もそろそろ参加をさせてもらうか」


 ゲトーは拳を鳴らして前に出た。


「わたしのブリザードで道を開く!」


 ノースは氷の槍を手に出現させ、戦いの準備をした。


「よし、行きますわよ!」


 エイリスの号令で戦いが始まる。


「ウインドブラスト!」

「ノースブリザード!」


 エイリスの巻き起こす風で敵の群れは翻弄され、さらに直線的に吹き抜ける吹雪が次々と凍らせて打ち倒していく。

 起き上がろうとする敵がまた不自然な動きをして倒れていく。


「大丈夫。かかりにくくなっているけど、ちゃんと効く」


 ミレージアは幻術の効きを確かめて小さく声を弾ませる。倒れたモンスター達の下から巨大なモンスターが立ち上がって姿を現した。ゲトーが飛びかかっていく。


「へっ、俺の獲物も料理させてもらうぜ!」


 ゲトーは鉤爪でモンスターを引き裂き、さらに翼を広げて回転し、一直線に突き進むドリルとなって残りのモンスターの群れを蹴散らしていった。


「豪快ですわね」

「一人で先に行かないでよ!」


 ダンジョンを進むとすぐに次のモンスターの軍団が現れた。


「景気のいいことですわね。けちっていたのを一気に出してきたのでしょうか」

「終わりが近いってこと?」

「そうなりますわね。ならばこちらも一気に決めてしまいましょうか!」

「よーし!」

 

 エイリスとノースの放つ全力の風と吹雪が駆け抜ける。


「おま! 俺を巻き込むなよー!」


 ゲトーは慌てて退避した。モンスターの軍団はあっという間に掃除されていった。



 ダンジョンの奥へひたすら歩いて進み、行きついた先に一つの扉があった。

 ここまで直角に曲がった道はあれど分かれ道はなく、迷うことなく進んできた。どんなことにも終わりはある。その予感をノースは感じた。


「ここに楽々レベルアップが出来るアイテムが」

「開けますわよ。警戒だけはしてください」


 エイリスが一言言い添え、その扉を開けた。


 中は大きな広間だった。今まで進んできた道と同じく綺麗な直角と平面で構成された四角い石造りの空間。同じダンジョン内ではあっても閉鎖的な通路から大きな部屋に来て、ノースは不思議な解放感を感じていた。高い天井を見上げる。


「あれが楽々レベルアップが出来る宝石でしょうか」


 最初にエイリスがそれに目を付けた。ノースも天井から床に視線を下ろしそれを見る。何歩か進んだ先にある部屋の中央に置かれた細い台座の上にその宝石はあった。近づこうとする前にエイリスがみんなを静止させた。


「まずわたしが触ってみます。みんなはここで待っていてください」


 パーティーから離れて一人で歩いていくエイリスをノースは息をつめて見守った。

 一刻も早く手に入れたいとか出し抜かれるとかそんな気持ちは不思議と湧かなかった。今まで先頭に立ってパーティーを引っ張ってきたのは彼女だから、彼女が最初に手に入れるのは当然と思っていた。

 エイリスが宝石の台座の前で立ち止まる。


「これで本当に楽々レベルアップを……?」


 エイリスは緊張に体を強張らせながらも、覚悟を決めてそれを取ることにしたようだ。そっとゆっくり手を近づけていく。その指先が触れると思ったその時、


「え……」


 宝石と台座が突如として消え去り、エイリスの手がすり抜けた。


「ほ、宝石はどこに? どこに行ったの!?」


 突然の事態にエイリスは取り乱した態度で慌てて周囲を見回した。それはノースも同じだった。突然のことに我を失い、天井で鳴った音に気が付かなかった。宝石が消えた事態に完全に気を取られていた。


「危ねえ!」


 ただ一人異変を察知したゲトーは勢いよく飛び出した。困惑するエイリスの体をひっさらい、宙をカーブしてみんなのところに舞い戻る。直後、天井から落ちてきたブロックがさっきまでエイリスが立っていた場所に落下し、その下の床を粉々に打ち砕いていった。エイリスはゲトーの腕から降りてそれを見つめた。


「どういうことですの? 楽々レベルアップは?」

「さあな。そんな上手い話は無かったってことじゃないのか」

「嘘だったっていうの?」


『嘘などではないさ!』


 その時、その場にいない何者かの声が響き渡った。石の落ちてきた天井から姿を現し、落ちた石の上に舞い降りる。それは受付で見たあの占い師風の少女だった。

 四人の視線を集めながら彼女は語る。


「ただ違ったのは、ここはお前達のレベルアップ場ではない……」


 少女は勢いよくその占い師風のだぶついたローブを脱ぎ捨て、帽子とヴェールも取って投げ捨てた。薄暗いダンジョンの中で輝くような純白の長い髪が舞い、白と黒を基調とした軽装の服へと変え、同じく二色に塗り分けされた杖で地面を叩く。

 白と黒の世界の中で、少女の射抜くような視線が四人に向けられる。気圧される四人の前で彼女は大胆不敵に宣言した。


「ここはこの次元神クトロアフ様の楽々レベルアップ場だったのだー!!」

「なんだってー!!」


 その衝撃の事態にみんなは驚愕の声を上げた。

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