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第83話「ゲンの自己犠牲」

ショパン「1週間ぶりの我が家に来たぞー!!」


ラフマニノフ「ああ、リフレッシュできたな。今回の日本観光旅行でな」


アゲハ「あなた達、まさか1日目から私にくっついて旅行するのが嫌になり、二人で単独行動するなんてね。裏切られた気分よ」


ショパン「アゲハはエキスパートピアノは初めてだよね??」


アゲハ「ええ!!」


 三人は校門の前に立っている警備員に挨拶した。


ラフマニノフ「いつもご苦労様」


ラフマニノフは警備員に話しかけたが、警備員は何やら無言だ。


ラフマニノフ「どうした?? いつものように元気に『何も問題は起きていませんのでご安心を!!』と言ってくれよ!!」


警備員「実は……」


ショパン「あれ?? あーーー!!」


警備員「ショパン様!! 気づかれましたか??」


ショパン「僕たちが何百億ポイントかけてつけたオレンジダイヤモンドとピンクダイヤモンドが無くなってる!!」


ラフマニノフ「嘘だろ?? 警備員!! どういうことだ??」


警備員「はい!! しかし、盗まれたのではないことがはっきりしてます。監視カメラを確かめたのですが、オレンジダイヤモンドとピンクダイヤモンドは、、、実は擬人猫化しました」


アゲハ「擬人猫化?? 何それ??」


警備員「ダイヤモンドたちはいきなり猫に変身したのです」


ラフマニノフ「猫なんてどこにもいないじゃないか」


「ここにいるよ!!」


ショパン「え〜〜??」


 すぐ近くの花壇の影から2匹のしゃべる猫が姿を現した。


ピンクダイヤモンド猫「ラフマニノフ様!! 待っていましたわ!! 私の恋人!!」


 ピンクとブラックの2色の体で猫はラフマニノフに飛びついた。


ラフマニノフ「こら!! 誰が恋人だ?? 俺の恋人はバイオレットだ!! バイオレットとピンクで名前の色が似ているからって調子に乗るんじゃない」


 もう一匹のオレンジとホワイトの猫はショパンに挨拶した。


オレンジダイヤモンド猫「ショパン様!! あなたがピアノから生まれたように、私達はダイヤモンドから生まれました。これからよろしくお願いします」


ショパン「あの……」


 ショパンは言葉を失った。


ラフマニノフ「まさか、擬人猫化するとはな。不思議だな!!」


ショパン「僕は逆に嬉しいよ!! この猫たちはきっとエキスパートピアノを有名にしてくれよ。今以上にね。話題性半端ないからね」


アゲハ「ゲンは元気かしら?? 1週間、頑張ってくれたのよね??」


 ショパン、ラフマニノフ、アゲハ、擬人猫たち2匹は校長室へと向かった。


ラフマニノフ「ゲン、いるかな??」


ショパン「驚かしてやろうよ!!」


 校長室の扉をゆっくり音を立てないように開けた。


 しかし、誰もいないみたいだ!!


ラフマニノフ「おい、机に何か置いてあるぞ??」


アゲハ「手紙ね。ゲンのだわ。名前が書いてある」


ショパン「読んでみて!! ラフマ。」


ラフマニノフ「『本日、現れた猫たちがきっとショパンとラフマニノフのエキスパートピアノを霊界最大の音楽学校にするという夢を叶えてくれるでしょう!! 私はエキスパートピアノの副校長を辞めます。あなた方は人使いが荒い!! 私は短気だから副校長にし、雑用ばかりやらせる二人には我慢できません!! やってられねえよ!! 当分、会わないようにします。さようなら』だって書いてある!!」


アゲハ「人の心の内は分からないものね。ゲンはショパンとラフマニノフを親友だって言っていたはずなのに」


ショパン「そんな……ゲン!!」


ラフマニノフ「…………嘘だろ?? そんな不満な素振りは一切、見せなかったのに。これがゲンの本心なのか……」


 ショパンとラフマニノフはショックで言葉を失った。








ショパン「ゲンとの位置情報共有アプリでも、ゲンの居場所が表示されない。ゲンは僕たちにどこにいるのか知られたくなくて位置情報共有を解除したみたいだね」


ラフマニノフ「……なぜ、急に。なんか不自然だ。裏がある気がしなくもないな」


ショパン「擬人猫化したピンクダイヤモンドとオレンジダイヤモンドが現れたのと何か関係あるかも。だって、ゲンの失踪と同じ日に擬人猫が生まれたからね」


 ショパンとラフマニノフは擬人猫の2匹を問い詰めた。


ピンクダイヤモンド猫「本当に何も知らないの」


オレンジダイヤモンド猫「ピンクダイヤモンドに同意です」


ラフマニノフ「何故、ダイヤモンドから擬人猫が生まれたのか調べないとな」


ショパン「実は前に僕がピアノから生まれた理由を調べたけれど、まさに、この霊界でも解明されてない自然現象らしい。物質がいきなり心を持つことから始まったという仮説はあるらしいけれどね」


ラフマニノフ「ゲンがいきなりキレていなくなるなんておかしいよ。俺たちといる時に一番笑顔で幸せそうだったからな」


ショパン「こうなったら、ゲンには悪いけれど、地上世界のゲンの肉体に会いに行き、睡眠中の幽体離脱時に、ゲンに聞くしかないよ!ゲンは僕らに会いたくないだろうけれど」 ラフマニノフ「地上世界のゲンの肉体はどこにいるのか調べられるからな!! いくらゲンでも肉体からは逃げられないからな」


ショパン「地上世界のゲンの肉体に会いに行こう!! 今すぐに!!」


 地上世界のゲンの肉体に会いに行ったショパンとラフマニノフ。


 ゲンは自宅で作曲をしていた。


 地上世界で新たに配信リリースするオリジナルアルバムを制作していたのだ。


 DTMなどがある音楽制作の部屋にショパンとラフマニノフは霊体でゲンのすぐ目の前にいた。


ショパン「ねえ、ゲンの作曲している姿は初めて見るよね」


ラフマニノフ「コーヒーは『金の微糖』だな。飲んだことないな」


ショパン「一口、飲んでみれば??」


ラフマニノフ「いや、今は早くゲンが睡眠に入り、幽体離脱してもらうことを待つしかない。コーヒーは後回しだ」


 2時間程、音楽制作に没頭したゲンは、ノートに何やら書き出した。


ショパン「ゲンがノートに何か書いてるよ」


ラフマニノフ「『ショパンとラフマニノフには何としてもオガサイ音楽学校コンクールで1位になって、夢を叶えてほしい。そのためには猫たちに活躍してもらうしかなかった。僕はショパンとラフマニノフから離れる代わりに、二人の夢を叶える力になりたいと考えた。二人と会っている時だけ、二人のことは忘れ、記憶喪失になるという代償を支払い、猫たちを誕生させた。猫たちはオガサイ音楽学校コンクールでエキスパートピアノを1位にさせることができる幸運の猫だ。ショパンとラフマニノフが夢を叶えてくれるなら、僕は二人から離れ、記憶を失っても構わない……』」


ショパン「そんな!! ゲンがそんなことを考えていたなんて」


 ゲンは日記を机に開いたまま、眠りについた。


 ゲンの肉体から霊体が現れ、空中に上昇してゆく。


 ゲンの霊体はすぐに瞬間移動した。


ラフマニノフ「しまった!! ゲンが瞬間移動してしまった。だが、肉体から幽体離脱した場合、シルバーコードと呼ばれる魂の緒がついている。それを辿ってゆけば、ゲンに会えるさ」


 ゲンのシルバーコードを辿っていって、霊界を彷徨うゲンの肩を掴んだ!!


ラフマニノフ「ゲン!!」


ゲン「何ですか。誰ですか??」


ショパン「やはり、記憶を失ってしまったのは、ゲンのノートに書かれていた通りみたいだね」


ラフマニノフ「ゲン!! 俺だ!! 目を覚ませ!! ゲン!!」


 ゲンの肩を掴みながら、体全体を揺さぶり、ラフマニノフは必死にゲンの記憶が戻らないか期待したが……


ゲン「やめろよ!! なんだいきなり!! いい加減にしろよ!!」


 ゲンはラフマニノフをはねのけたが、ラフマニノフはゲンを強引に強く抱きしめた。


ラフマニノフ「ゲン!! すまない。ごめんな。俺たちの夢を叶えるために、記憶を失ってまでして、、、そこまでして……」


 ラフマニノフはゲンを抱きしめたまま泣き出した。


ゲン「離せ!! 何の話をしているんだ?? あんたなんか知らないよ」


ショパン「ゲン……」


 ゲンはラフマニノフから逃れ、霊界の彼方へと消えていった。


ショパン「ラフマ。。ゲンのはたぶん、等価交換取引だよ。自分が大事な親友の記憶を失う代わりに、僕たちの夢を叶えさせようとしたんだ」


ラフマニノフ「なんとしてもゲンの記憶を取り戻す!!クソみたいな取引も終わらせる!!」


 二人はゲンの自己犠牲に心を痛めた。


 そして、必ずゲンをいつものゲンに戻してやることを決めた。









 ショパンとラフマニノフは「等価交換取引所」に来ていた。


 等価交換取引所のコーヒーブレイクエリアには、パソコンを触っている1人の女性が。


ラフマニノフ「この人の等価交換取引を解除してほしい」


 等価交換取引所の所長に会い、ゲンの取引をやめさせるように頼んだが。


所長「等価交換取引は本人以外は解除できないようになっています。委任状や本人代理証明書がなければ無理です」


ラフマニノフ「いくらでも金は払う。俺達の大事な友達なんだよ!! 俺達の夢を叶える代わりに、俺達の記憶を失うというものだ。解除してほしい取引した人はゲンという」


ショパン「所長さんならいくらでも解除できるはず。なんでも言う事聞きます。どうか、ゲンという人の等価交換を終わらせてほしい」


所長「あなた方がゲンさんの大事な友達という証拠を用意できますか??」


 ショパンとラフマニノフはマスクとサングラスの変装を解いた。


所長「なんと……ショパンとラフマニノフだったとは……」


 所長は驚いた様子でまた聞き返した。


所長「ゲンさんと親しい間柄という証拠はありますか??」


ラフマニノフ「一応、このUSBメモリーにゲンとの親しいという今までの証拠が保存されている。見てみてくれ!!」


 所長がパソコンにラフマニノフから渡されたUSBメモリーを挿すと、後ろの女性が「ヨッシャ!!」と声を上げて、みんな女性を見た。


女性「ああ、すいませ〜ん」


 女性は頭を下げ、奇声を上げたことを謝罪した。


所長「写真がたくさんありますね。しかし、写真だけでは証拠になりません。いくらでも加工捏造できますからね」


ラフマニノフ「いくらなんでも厳しすぎないか?? 俺達は有名な音楽家で、最近までゲンは俺達の経営する音楽学校の副校長をしていたし、俺のコーヒー店の店員もしていたし、周りの人に聞き取り調査をすれば、すぐに俺達がゲンの親友だって分かるはずだが……」


所長「ルールですので。私は所長です。いくら金を積まれても、買収はできません。等価交換取引はゲンさん本人の意思で行われたものです。ゲンさんを無理やり連れてきて、解除させるしかありません」


ショパン「ゲンは連れてこれません」


所長「では、あきらめてください。ルールは絶対です。所長としてたくさんの部下を裏切ることはできません」


すると、


「やったー!!」


また、後ろの女性が奇声を発した。


所長は女性に「所内ではお静かに!!」と注意した。


「すいませ〜ん!!」


女性は嬉しそうに返事した。


所長「ラフマニノフ様、お引き取りを。ゲンを連れてきてください。それか本人代理証明書を持参して、また来てください」


ラフマニノフ「話にならないな!! ショパン行くぞ!!」


ショパン「うん!! この所長さんは融通が利かないね」


 ラフマニノフとショパンが等価交換取引所を出ていくと、奇声を2度も発した女性も二人を追いかけるように出ていった。


ラフマニノフ「バイオレット!! 上手く行ったか??」


バイオレット「ええ!! ハッキング完了したわよ。もう、ゲンの等価交換取引は解除されたわ」


ショパン「バイオレットがハッキングの達人だったとはね。助かったよ」


 そう、ラフマニノフは恋人のバイオレットに頼み、等価交換取引所のセキュリティをハッキングして忍び込み、ゲンを取引から救ったのだ。


 ラフマニノフが所長に渡した「USBメモリー」に、バイオレット特製のハッキングウイルスが入っていた。


 ショパンとラフマニノフはゲンに会った。


ゲン「僕の等価交換を勝手に解除したのか??」


ラフマニノフ「ゲン。俺達がゲンを犠牲にしてまでして叶えたい夢なんかあると思うか?? なぜ、あんなことをしたんだ??」


ゲン「どうやって僕が等価交換取引したことを知ったんだ??」


ショパン「君が地上世界で書いたノートを見たんだよ。そこに書いてあったから分かったんだよ」


ゲン「ノートを運悪く見られたのか。ついてないな。ショパンとラフマニノフが夢を叶えてくれるなら、僕は2人の前から消えてもよかったのに」


ラフマニノフ「まだわからないのか?? なんで気づかないんだ!!!!」


 ラフマニノフはゲンを思いっきり殴った。


 ゲンはラフマニノフの怒りと友情のパンチを顔に食らい、その場に倒れた。


ゲン「ラフマ……」


ラフマニノフ「お前を失うくらいなら、夢なんて捨てたほうがマシだ!! もう、絶対に勝手なことするんじゃないぞ!!」


ゲン「……」


ショパン「ゲン!君が地上世界でノートに等価交換取引について書いて、そのページを開いて僕らに見れるようにしていたことで分かったんだよ。本当は、君は等価交換取引したら、僕らが止めに来ると気づいていたんだよ。だから、ノートを開いたままにした。開いてなかったら、僕らはゲンが等価交換取引したことを知らないままだったよ。霊界から地上世界のノートをめくることはできないからね」


ゲン「勝手なことしてごめん。でも、君たちの夢はこのままじゃ叶わないよ。ベートーベンとモーツァルトのフルビットミュージックを超えるにはオーケストレーションを学校の指導プログラムに入れないと」


ラフマニノフ「いや、、エキスパートピアノはピアノ一本で行くつもりだ。。俺たちはピアノに一番こだわっていたいんだ」


ショパン「僕たちはどこまでもピアノに生きる男たちだからね。ゲンも大切な友人だ。一緒に僕たちといてくれよ!!」


 ゲンは涙を流しながら頷いた。


ゲン「もちろんです」


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