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第43話「映画撮影」

ショパン「グッ⋯ウアアアアアア」


ユウジロウ「カット!ショパン。なんだ。その声は。その表情は!全然なってない。笑いながら崖から落ちるなんておかしいだろ!もう一度やってくれ!」


ショパン「うわああああああああ」


ユウジロウ「ショパン。お前は才能がないからやめちまえ」


ショパン「こら!! いくら、監督だからって、偉大な音楽家である私になんていう言い草だ!論外だ!」


ユウジロウ「ラフマニノフはしっかりと演技してくれる。ショパンとは大違いだ!ショパンがこんなに大根役者だとは思わなかった。生前は名俳優になるとまで言われていたので、期待したが、ラフマニノフのほうが全然優れているじゃないか!ショパン!!」


ショパン「なぜだ?ベートーベンもしっかりと演技できている。こんなに役者の演技が難しいとは。昔の私はどこいったんだ?」


ラフマニノフ「ショパン!ユウジロウがガッカリしているぞ?ユウジロウよ、ショパンには演技の訓練をもっとさせてから出演させましょう。それまでは、私たちのシーンの撮影をしましょう」


モーツァルト「前回、映画のテーマ音楽オーディションで最下位だったが、演技だったらかなり自信あるよ」


ベートーベン「我は崖から転落し、川に沈むショパンを助ける役だな。モーツァルトと二人でな」


ユウジロウ「テツヤが見本を見せるから。やってみろ。こんな感じだってわかるはずだ!テツヤ!!頼む」


テツヤ「了解!ボス」


 テツヤは生前、役者としてユウジロウが設立したユウジロウプロモーションで大活躍した名俳優だ。テツヤは表情一つ一つも完璧に高度な演技を見せた。


 ベートーベンとモーツァルトはその通りに演技しようとしたが、モーツァルトはうまくいかなかった。


ユウジロウ「こら、モーツァルト。なぜ、お前は川で泳ぐときにバタフライなんだ?もっといい泳ぎ方があるだろう?クロールとかだろ?バタフライなんて聞いたことも見たこともなくて不自然だ!ショパンの次に大根役者だな!」


モーツァルト「ガーン!!!」


 モーツァルトは鼻水たらしながら、呆然としていた。


ユウジロウ「テツヤ、大根役者のショパンとモーツァルトを演技訓練してやってくれ!頼む!しっかりと教えてやってくれ!」


テツヤ「OK!ボス」


と言いながら、ショパン、モーツァルト、テツヤの3人は銭湯で風呂につかっていた。


ショパン「ちょっと!テツヤさん!演技訓練サボって平気なんですか?ユウジロウ監督に怒られるんじゃ?」


モーツァルト「でも、ここの風呂!最高だな!いろいろなお湯の種類があって、温度も自由に設定できるし。ライオンの口から湯が出てるなんて洒落ている」


テツヤ「大丈夫。アゲハにユウジロウを説得するように頼んでおいたから!ユウジロウは従来のやり方でやろうとしている。ショパンの崖から落ちるときに笑顔になる演技が私には笑えて逆によかったんだ!ユウジロウに私から話すよりは、ズカズカ遠慮なく言えるアゲハに任せたほうがいいと思ったんだ」


ショパン「説得ってどういう意味ですか?」


モーツァルト「もしかして、風呂に入った理由を言い訳することですか?」


テツヤ「今までにない映画を作りたいとユウジロウさんはおっしゃった。ならば、お前たちの演技を素直に取り入れた方が絶対に面白い。変に演技トレーニングをして、魅力的な個性を失ったら今までにない映画にはならない。ユウジロウさんも間違えることがあるんだよな!」


 3人は風呂で温まりながら、様々な会話をしていた。


テツヤ「ここの風呂の壁は、このタッチディスプレイから、自由に絵を選べるんだ!これなんかどうだ?」


 風呂の大きな壁には「ブタ」の絵が映し出された。


ショパン「全然、銭湯って感じじゃないから違和感しかない!」


モーツァルト「つまり、前例のないものを選び、その違和感を大事にしろと言いたいんですね?」


テツヤ「そうだ!違和感を楽しむ!ユウジロウさんも、アゲハの説得には屈すると思うぞ?アゲハは遠慮がないからな!ユウジロウさんに唯一、逆らえる人かもしれない!その変わった性格をユウジロウさんも気に入って、映画のヒロインをアゲハにやらせようと思ったんだ。元はといえば、この『天才音楽家たちの女王』は、ユウジロウさんがアゲハを主役に添えたいという願いからスタートした企画だからな!」


モーツァルト「しかし、、あまりの湯の気持ちよさに、、うたた寝しそうになるな」


 と言いながら、、5分後、、モーツァルトは本当にうたた寝してしまった。


「バッチーン!!」   


 ショパンはモーツァルトに強烈なビンタをかました。



モーツァルト「痛った!! 何だよ!! ビックリしてるよ!! まさか内気なショパンが私にビンタをかますとは!! 今までいきなりビンタされたことなんて一度もないのに!!」


ショパン「意外性を大事にしたいんだよ!! 前例のない、違和感を大事にね!!」




 ラフマニノフとベートーベンは撮影を順調に進めていた。


ユウジロウ「『天才音楽家たちの女王』という映画は、有名音楽家、ラフマニノフ、ショパン、モーツァルト、ベートーベンの4人が一人のキャビンアテンダントの女性を取り合うという変わった映画だ。完成したら、かなり売れると期待している!」


 撮影所にアゲハが入ってきた。


アゲハ「ユウジロウ!! ちょっと!!」


ユウジロウ「なんだ?呼び捨てか?俺は監督だぜ?」


アゲハ「変わった映画にするんだったら、ショパンとモーツァルトを演技訓練させちゃダメよ!あの演技のおかしさが、変わりようが、魅力なのに!!!早く訓練を中止させなさい!」


ユウジロウ「俺に逆らう気か?」


アゲハ「逆らうに決まってんじゃない!バカじゃないの?今までにない映画を目指すって言っていたくせに、今までと同じ演技を役者にさせるってどういうことなの?あんた馬鹿じゃない?」


ユウジロウ「ハハハ!アゲハ!この俺にそこまで言うか!相変わらず、面白いな!お前は!そうか!確かにそうだな!むしろ、ショパンとモーツァルトの演技の仕方は逆に革新的とも取れるな!大事なことに気づかせてくれてサンキューな!」


アゲハ「早く2人を呼んであげなさい!」


ユウジロウ「ああ!そうするよ!」


こうして、ショパンとモーツァルトとテツヤが戻ってきた!


ショパン「うああああああああああ」


ラフマニノフ「ショパーーーーン!」


 ショパンは敵の槍による連続攻撃を避けようとして、崖から落ち、味方のラフマニノフはショパンの名を心の中で叫んで、身を案じた。


 ショパンは作曲中に急に人が来ないように槍部隊を配置し、、たくさんの人を槍で追い払ってきた。


 映画の撮影とはいえ、、ショパンも人を槍で痛めつけたように、、自分自身も、、槍でやり返されたようだ。。


 霊界でも、、「人にしたことは自分に返ってくる」


 カルマの法則は健在だ。



 ラフマニノフは、、


 もう、既に日は落ち、暗くなったので、崖から落ちたショパンを立ちすくんで見守るしかなかった。


 敵に紛れ込んでいたショパンの味方であるラフマニノフは、敵の情報を探るためにわざと、敵の懐に入り込んでいたのだ。


 川に落ちたショパンは、バタフライとクロールをするモーツァルトとベートーベンに助けられ、保護された。


 やがて、アゲハが4人の中から1人だけ、結婚する相手を選ぶ場面で、アゲハは選べずに、失踪してしまう。


 4人はやがて、アゲハが世界の王へとなる運命であることを予言の書から知り、4人はアゲハの直属の部下となり、アゲハを守りながら、アゲハは世界の王へとなっていく。


という映画は果たして霊界で大ヒットしたのだろうか……

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