第7話:運命のデッドライン。~三韓の儀式(ライブ)中に暗殺とかマジ?~
「……いや、警備緩すぎじゃね? 逆に罠を疑うレベルなんだけど」
西暦645年6月12日。
場所は飛鳥板蓋宮。
今日は、朝鮮半島の三つの国から貢ぎ物が届く「三韓の儀」っていう超重要な国家行事の日だ。
中大兄のプリンスは、なぜか槍を手に持って物陰に隠れている。
鎌足は、さっきから時計(日時計)をチラチラ見て、カウントダウンを始めた。
「いいか海斗。入鹿が会場に入り、石川麻呂が上表文を読み始めた時が、作戦開始だ」
「……あの、子麻呂さんの様子が変なんですけど」
横を見ると、最強アタッカーのはずの佐伯子麻呂が、顔面蒼白でガクガク震えている。現代で言えば、「プレゼン直前に緊張しすぎてトイレにこもる新人」みたいな状態だ。
「……う、うぷっ。緊張で……吐きそう……」
「えぇ!? ここでリバース(嘔吐)は勘弁してくださいよ! 物理担当(前衛)でしょ!」
その時、会場がザワついた。
飛鳥のチート独裁者、蘇我入鹿が、剣を帯びたまま悠然と現れたんだ。
相変わらずの威圧感。周囲の空気が一瞬で凍り付く。
「……おい、石川麻呂。早く読み始めろ。俺の時間は高い(タイム・イズ・マネー)んだぞ」
入鹿に急かされ、震える手で巻物を広げる石川麻呂。
さあ、歴史の教科書が太字で書く、あの瞬間がやってくる。
俺はもらった組紐をギュッと握りしめた。
「ま、なんとかなる……いや、これ絶対なんとかならなきゃダメなやつだ!」
「……やるぞ、子麻呂! 突撃だ!」
中大兄皇子の合図とともに、平和だった飛鳥の宮殿が、一瞬で修羅場へと変貌した。
【今回の学習ポイント:乙巳の変(当日)】
飛鳥板蓋宮: 皇極天皇の皇居。現在の奈良県明日香村にある。
三韓の儀: 高句麗・百済・新羅からの貢ぎ物を届ける儀式。この厳かな儀式の最中、誰もが油断している瞬間を狙った。
倉山田石川麻呂の震え: 上表文を読み上げる石川麻呂も、実はあまりの恐怖に全身が震え、声が裏返っていた。それを見た入鹿が「おい、なんでそんなに震えてる?」と怪しんだ絶体絶命の瞬間があった。




