第3話:独裁者のチートがすぎて草。~入鹿さん、やりすぎじゃないっすか?~
「……いや、あのおっさん、マジで何なの?」
俺が請安の塾からの帰り道に見たのは、建設中の巨大な巨大施設(双墓)。
蘇我入鹿が自分とお父さんのために作らせている墓らしいんだけど、その規模がもう、古墳っていうか、ちょっとした超高級タワマン(終の棲家)だ。
「あれ、天皇の墓よりデカくね? 公私混同がすぎるっていうか、完全に社内規定(礼法)無視じゃん」
俺の独り言に、隣を歩いていた謎の美少女が、困ったように眉を下げて笑った。
「入鹿様は、この国のすべてを自分のものだと思っていらっしゃいますから……」
彼女の名前は、まだ教えてもらっていない。でも、その清楚な雰囲気に、俺の心拍数はさっきから時速200キロ(爆速)だ。
「海斗さん、あまり大きな声で言わないで。入鹿様の耳は、あちこちにありますのよ」
「あー、エゴサ(監視)が厳しいタイプね。了解」
そんな話をしていたら、向こうから金ピカの馬車……じゃなくて、豪華な輿に乗った集団がやってきた。
中心に座っているのが、飛鳥の絶対君主、蘇我入鹿。
現代風に言えば、「時価総額トップ企業の、性格に難アリな二代目社長」って感じだ。
入鹿は、道端で平伏している民衆をゴミを見るような目で見下ろし、指をパチンと鳴らした。
「そこのお前、歩くのが遅い。ログアウト(処罰)しろ」
「ひっ、お助けを!」
「え、待て。今のマジ? 理由が理不尽すぎて草も生えないんだけど」
俺が思わず立ち上がろうとすると、彼女がそっと俺の手を握って止めた。その手の温かさに、一瞬で頭が真っ白になる。
「ダメ、海斗さん。今動いたら、あなたまで……」
「……ま、なんとかなるんじゃね?」って言いたいところだけど、あの入鹿の目はマジだ。
あいつ、自分が世界の中心だって本気で思ってる。
「中大兄のプリンスが『あいつ、ぶっ飛ばす』って言ってた意味、今わかったわ……」
俺の飛鳥ライフ、どうやら本格的に国家転覆に片足を突っ込んじゃったみたいだ。
【今回の学習ポイント:蘇我入鹿の専横】
甘檮岡: 入鹿はここに豪華な邸宅を建て、まるで自分の城のようにした。
双墓: 自分と父・蝦夷のために、天皇の墓(陵)をしのぐ規模の墓を、民衆を無理やり動員して作らせたと言われている。
権力の独占: 入鹿は気に入らない皇族を自害に追い込むなど、やりたい放題だった。これが、中大兄皇子たちが「もう我慢の限界!」となる大きな要因になった。




