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ぶっちゃけ大化の改新って何?ってレベルの俺が、当時のドロドロ権力抗争を最前線で見守ることになったんだが。  作者: 五稜 司


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第23話:逆襲のエンタメ ~ハイスペ男子に「エモさ」で勝つ!~

「……終わった。俺のアイデンティティ、完全にデリート(消去)されたわ……」

不比等と車持娘が仲睦まじく歴史のアップデート(修正作業)をしている横で、俺は庭の隅っこでいじけていた。


計算は早い、顔はいい、礼儀正しい。不比等、あいつマジでバグだろ。現代にいたら確実にインフルエンサーになって、俺みたいな一般人はフォロワーにすらなれないレベルだ。


「海斗様? どうしてそのようなところで、地面に『の』の字を書いておられるのですか?」

車持娘が不思議そうに覗き込んできた。その後ろには、余裕の笑みを浮かべた不比等。

「いや……。俺、計算とか法律とか、そういう『硬いデータ』には向いてないなって思ってさ。あーあ、俺の出番ジョブはもう終わりかなー」

「そんな。海斗様の『カケザン』があったからこそ、今があるのです。不比等様もそうおっしゃっていますわ」

「ええ。海斗殿の発想は実に見事です。……ただ、これからはそれを正しく運用する『秩序ルール』が必要なだけ。海斗殿は、どうぞゆっくりお休みください」


不比等の言葉は丁寧だけど、暗に「お前はもう引退(隠居)していいよ」と言われている気がして、俺の負けず嫌いにスイッチが入った。


「……あー、そう。秩序ね、ルールね。OK、分かったよ。でもさ、不比等くん。お堅い仕事ばっかりしてると、みんなの『モチベ(やる気)』が下がっちゃうんだよね」

「もちべ……? それは、民の不満ということですか?」

「違う違う。もっとこう、ワクワクする感じ! プリンスの改革が『なんか楽しそう!』って思わせないと、みんなついてこないよ。不比等くん、君のやり方は『正論ロジック』だけで、エモさが足りないんだわ」


俺は立ち上がり、ポケット(懐)から「あるもの」を取り出した。

現代の高校生なら誰でも持っている(タイムスリップ時に持っていた)、一本の「多色ボールペン」と、カバンに眠っていた「お菓子のパッケージ(キラキラしたアルミ)」だ。


「……海斗殿、それは何ですか? 妖術の道具か何かで……?」

「これ? これは『未来のクリエイティブ(創造力)』。不比等くん、君が木簡を削ってる間に、俺はこれを使って『飛鳥アプデ記念・特製ポスター』を作るから」

俺は地面に広げた大きな布に、ボールペンの赤や青を使い、さらにキラキラしたアルミを貼り付けて、ド派手な「広報(PR)資料」を描き始めた。


中大兄プリンスを、超劇画風のヒーローとして描き、その横に「これからは、みんなが主役! 新時代の幕開け!」と、当時ではあり得ないキャッチコピーを踊らせる。


「な、なんですの、この鮮やかな色は……! それにこの絵、まるで皇子様がそこにいらっしゃるかのような躍動感!」

車持娘が目を輝かせてポスターに釘付けになった。不比等がどれだけ完璧な書類を作っても、この「視覚的なインパクト(バズり)」には勝てない。


「いい? 不比等くん。政治まつりごとには『正しさ』も大事だけど、それ以上に『みんなをビビらせるエンタメ』が必要なんだよ。……これ、都の広場に貼っといて。みんな速攻でアクセス(注目)しにくるから」


不比等は、初めて動揺したように目を見開いた。

「……信じられぬ。ことわりを超えた……これは、人の心を直接揺さぶる術か」

「よっ! 海斗様、すごいですわ!」


車持娘の視線が、不比等から俺に戻ってきた。

計算じゃ負けるけど、「適当な高校生のノリ」が生み出すカオスなクリエイティブは、この時代の天才にも予測不能だったらしい。


「(……ふふん。どうよ不比等。俺のスペックは低くても、未来の『広告代理店プロモーション』の力、なめんなよ!)」

俺は鼻を高くして、不比等にドヤ顔を決めた。


【今回の学習ポイント:古代の色彩と宣伝】


多色ボールペンとアルミ: 当時の色は天然染料(植物や鉱物)なので、現代の合成染料のようなパキッとした発色は超貴重! 特にキラキラしたアルミは「神の金属」に見えたかもしれないね。


情報の伝達: 当時の庶民は文字が読めない人が多かった。だから、中大兄皇子の難しい「詔(命令)」を理解させるには、海斗がやったような「視覚的なインパクト」での宣伝が、実は一番効果的だったりするんだ。


不比等の敗北感: 不比等は「完璧なロジシャン(論理主義者)」だからこそ、海斗のような「根拠はないけどなんかすごい」という直感的な行動に一番弱い。

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