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ぶっちゃけ大化の改新って何?ってレベルの俺が、当時のドロドロ権力抗争を最前線で見守ることになったんだが。  作者: 五稜 司


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第20話:アップデート完了? ~甘い時間はノイズを許さない~

「ふぅ……。ようやく静かになった。あー、マジで耳が疲れたわ」

俺はプリンスの部屋の扉を閉めると、全力で脱力した。


中からは、中大兄様が「これからは公地公民(みんなの土地は俺のもの)スタイルで行くから」的なことを、あの威圧感MAXのトーンで説得……というか脅し……いや、説明している声が聞こえてくる。

「あとはプリンスがゴリ押ししてくれれば、利用規約(改新の詔)への同意は完了。……さてと!」

俺は鼻歌まじりに、待ち合わせ場所へとダッシュした。

狙うは、さっき中断された車持娘くらもちのいらつめとの「大事な時間プライベート」だ。


「ごめんごめん! じいちゃんがバグりすぎて再起動に時間かかっちゃって」

息を切らして戻った俺の前に、少し頬を膨らませた車持娘が立っていた。

……うわ、怒ってる? でも、その「ぷんぷん」してる顔も現代のアイドルより可愛いから困る。

「海斗様。また、わけのわからぬ言葉を……。あのような翁、放っておけばよろしいのに」

「いやー、それがさ、あのアプデ……じゃなくて、新しいルールを通さないと、後で俺たちがデートする場所まで『ここはわしの土地じゃ!』って文句言われそうだったから。一応、先回りして処理クローズしてきたわけ」

俺はテキトーな言い訳を並べながら、彼女の隣に座った。


「そんなことよりさ、見てよこれ。これ、マジでエモくない?」

俺が指差したのは、沈みかけた夕日に照らされる飛鳥の街並み。

ビルも電柱もない、解像度高すぎな天然の絶景。

「……えも? とはよく分かりませぬが……。確かに、美しいですわね」

車持娘が少しだけ表情を和らげ、俺の肩に頭を預けてくる。


お、これこれ! この展開! これこそが俺の求めていた「大化の改新(という名のスローライフ)」だ。

「(……歴史の教科書だと、この後も血なまぐさい事件が続くはずだけど……。ま、なんとかなるんじゃね? 俺、高校生だし。難しいことは全部、あのプリンスと鎌足さんに任せとけばいいっしょ!)」

そんな甘い考えで、俺が彼女の肩に手を回そうとした、その時。


「海斗ーーーっ!! どこへ行った、海斗ーーー!!」

遠くから、デカい声で俺を呼ぶ鎌足さんの声が聞こえてきた。

……おい、マジかよ。通知オフにしてるのに、なんで呼び出し(プッシュ通知)が来るんだよ。


「海斗! 皇子が、翁を論破したのは良いが、その後の徴税の計算が合わぬとキレておられる! 貴様の『算術そろばん』が必要だ! すぐに来い!」

「……チッ。あのプリンス、スペックは高いのに事務処理能力(実務)低すぎだろ……」


俺の「リア充計画」に、再び大きなエラーメッセージが点滅し始めた。


【今回の学習ポイント:飛鳥の恋愛事情】


車持娘くらもちのいらつめ: 海斗が惚れている女の子。当時の有力貴族・車持氏の娘で、実は後に藤原不比等(鎌足の息子)の妻になる女性……という説もある。もし海斗が彼女を口説き落としたら、日本の歴史の家系図がバグる可能性大だぞ!


飛鳥の夕景: 当時の飛鳥は、百済や高句麗の技術が入った最新鋭の都市。海斗にとっては「不便な田舎」でも、当時の人からすれば「超ハイテクなオシャレ街」だったんだ。


徴税ちょうぜいの混乱: 土地を国に返す(公地公民)ってことは、税金(租・庸・調)の計算も全部やり直しってこと。コンピュータがないこの時代、その膨大な計算はまさに「デスマーチ」。海斗の現代的な算数能力が、国を救う……かもしれない?

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