第19話:丸投げ(アウトソーシング)の極意 ~プリンス、あとの処理は頼んます~
「……あー、もう無理。じいちゃんの話、一ミリも理解できないわ」
俺は耳をほじるフリをして、巨根の翁の説教をシャットダウンした。
土地がどうとか魂がどうとか、そんな「重たいデータ(古い価値観)」、俺の脳内ストレージには入らないんだって。
「海斗! 貴様、わしの話をログ(記録)しておらぬのか!」
「いや、じいちゃん。俺、ただの高校生だからさ。こういう政治的なバグ(対立)をデバッグ(解決)するのって、俺の担当じゃないと思うんだよね」
俺は隣で眉間にシワを寄せている鎌足の肩をポンと叩いた。
「鎌足さん。こういう『力技』が必要なやつってさ、あっちのプリンス(中大兄皇子)に丸投げ(アウトソーシング)した方が早くね?」
「……丸投げ、だと? 皇子に直接手を汚せと言うのか?」
「いやいや。皇子が『俺、新しいシステム作りたいんだよね』って一言ガツンと言えば、このじいちゃんだってフリーズ(沈黙)するでしょ。俺がチマチマ説得するより、よっぽどタイパ(タイムパフォーマンス)が良いって」
俺はそのまま、奥の部屋で「次の方針(アプデ内容)」を練っていた中大兄皇子のもとへ、勝手に向かった。
「おーい、中大兄様! 外にマジで話の通じない頑固じいちゃんがいて、仕事が進まないんすよ。……ちょっと、物理的に黙らせるか、ガツンと命令してくれません?」
「海斗……。お前、私をなんだと思っている」
中大兄皇子は呆れ顔だけど、俺が車持娘とのデートを邪魔されてキレてるのは察してくれたみたいだ。
「……わかった。鎌足、あの翁を呼べ。私が直接『利用規約(天皇の命令)』を読み聞かせてやろう」
「よっ! さすがプリンス、話がわかる! あとの処理は頼んます!」
俺は親指を立てて、逃げるようにオフィスの外へ。
さぁ、邪魔者は消えた。車持娘との「デートの続き(再接続)」を急がないと!
【今回の学習ポイント:中大兄皇子のリーダーシップ】
中大兄皇子: 後の天智天皇。彼は「乙巳の変」で見せた通り、いざとなったら超強引に物事を進める「武闘派リーダー」でもあったんだ。海斗みたいな柔軟な奴と、彼のような強権的なリーダーの組み合わせが、改革を加速させたのかもね。
詔: 天皇(あるいは皇太子)が出す絶対的な命令のこと。どんなに偉いじいちゃんでも、これを出されたら「運営の決定事項」として従うしかない。現代でいう「社長のトップダウン決定」みたいなものだぞ。
外戚の排除: 当時は蘇我氏のように、天皇の親戚として権力を振るう豪族が多かった。中大兄皇子はそれを嫌って、自分に近い一部の人間(石川麻呂など)以外は、実力行使で政治の表舞台から遠ざけていったんだ。




