第14話:新都のオフィスは風通しが良すぎる? ~役所仕事のDX化(効率化)、はじめました~
「……いや、この作業量、マジでサーバーダウンするって」
難波の新オフィス……もとい、難波長柄豊碕宮。
海が見える最新の宮殿だけど、中身は地獄の「アナログ作業場」だった。
目の前には、全国から届いた大量の木簡。
「公地公民」という名の大規模アプデ(規約変更)のせいで、日本中の戸籍や土地データを書き換える必要が出てきたんだ。
「海斗、何をボサっとしている。この地域の『租』の計算が合わん。再起動(計算し直し)だ!」
鎌足が、徹夜明けの充血した目で俺を急かしてくる。
「鎌足さん、これ全部手書きで集計とか無理ゲーだって。現代ならExcel(表計算ソフト)で一瞬なんだけど……」
「エクセル……? 異国の術か何かか? 良いから手を動かせ。これは日本を『天皇中心の巨大システム』として同期させるための聖戦なんだぞ」
俺が「ま、なんとかなるんじゃね?」と現実逃避しそうになったその時。
後ろからお茶(薬湯)を持った車持娘が、心配そうに覗き込んできた。
「海斗さん、また難しそうな顔をして……。これを飲んで、少しリフレッシュ(休息)してください」
「あぁ、悪い。……そうだ、これ。木簡を地域ごとに色分けして並べるだけでも、検索効率(探しやすさ)が上がるんじゃね?」
俺が現代の「フォルダ分け」的な発想を提案すると、隣で居眠りしていた脳筋アタッカーの子麻呂がガバッと起き上がった。
「色分けか! それなら俺の得意分野だ。入鹿をBAN(討伐)した時の返り血みたいに、真っ赤に塗ればいいんだな?」
「……子麻呂、物騒な例えはやめて。でも、海斗の案は悪くない。管理工数の削減に繋がりそうだ」
鎌足が珍しく俺を褒めた。
どうやら俺の現代知識は、戦いよりも「ホワイトな職場作り(業務効率化)」で本領を発揮するらしい。
「よーし、難波オフィスのDX化(効率化)、本格始動だ!」
俺が気合を入れ直すと、車持娘が嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔、マジで俺のやる気スイッチ(モチベーション)の最高出力だわ。
【今回の学習ポイント:難波での新体制と事務作業】
木簡: 当時は紙がとても貴重だったので、薄い木の板(木簡)に文字を書いて記録していた。何万枚もの木簡を整理して国を管理するのは、現代のデータセンターを一人で動かすような過酷な作業だったぞ。
事務の効率化: 大化の改新は、単なる暗殺事件ではなく、膨大な「書類仕事」によって支えられていた。戸籍や税の台帳を作るために、多くの実務官僚たちが必死に働いていたんだ。
男女の距離感: 当時の貴族社会では、女性が男性に直接姿を見せることは少なかった。車持娘が海斗にお茶を持ってくるという行為は、実は現代でいう「かなり積極的なアプローチ」に近い意味を持っていたのかもしれないぞ。




