第13話:新居でのハプニングは恋の予感?~飛鳥の乙女は、距離感がバグってる~
「……ふぅ、やっと荷解き(入居作業)終わったわ」
難波の新オフィス……もとい新都は、海風が気持ちいい。
俺に与えられた部屋は、記録係(証人)としての役職の割には結構いい場所だ。
「海斗さん、お疲れ様です。お茶(薬湯)を淹れましたよ」
車持娘が、甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてくれる。
彼女は今、鎌足の縁者として、俺たちのサポート(事務作業)を手伝っているんだ。
「ありがとな。……てか、そんなに近くで見つめられると、俺の心臓がオーバーヒート(停止)するんだけど」
彼女は、俺が現代の服の代わりに着ている飛鳥風の衣装を直そうと、かなり至近距離まで顔を近づけてくる。
シャンプーなんてない時代のはずなのに、彼女からは不思議と花のようないい香りがした。
「海斗さんの国では、男女がこれほど近くにいるのは……珍しいのですか?」
彼女が上目遣いで聞いてくる。その瞳には、純粋な好奇心と、ほんの少しの熱が含まれている(気がする)。
「あー、いや、珍しくはないっていうか……。でも、こうして二人きりで部屋の片付けをするのは、いわゆる『フラグ(イベント)』なんだよ」
「ふらぐ……? よく分かりませんが、私は嬉しいです。海斗さんといると、未来の話を聞いているみたいで、ワクワクしますから」
そう言って、彼女が俺の手にそっと自分の手を重ねた。
その瞬間、ふすま(的な扉)がバターン!と開いた。
「よお、海斗! 引っ越し祝いに、酒持ってきた……って、お前ら何やってんだ?」
現れたのは、脳筋アタッカーの佐伯子麻呂。
「あ、いや! これは、その、衣装のデバッグ(修繕)をだな!」
「……ふん。中大兄様も鎌足様も、新政府の定款(法律)作りに必死だってのに、お前だけリア充かよ。羨ましいじゃねぇか」
子麻呂がニヤニヤしながら割り込んでくる。
俺の飛鳥ラブコメ、前途多難(邪魔者多め)かもしれない……!
【今回の学習ポイント:飛鳥時代の生活と香】
お茶(薬湯): 当時は今のような茶道はなく、お茶は「薬」として飲まれていたんだ。
香: 飛鳥時代は仏教とともに「香」の文化が伝わった時期。貴族たちは服に香を焚きしめたりして、自分の個性を演出していたぞ。
難波長柄豊碕宮: 海斗たちが引っ越した新しい都。今の大阪市中央区あたりにあった、日本初の本格的な中国風の宮殿だ。




