踏まれるニャ
サッと着替えを済まして、エプロンを締めてやっと最低限の調理器具が揃った小さなキッチン立った美紀。
(これから毎日美味しいご飯を作る!)
と改めておもった。
そして冷蔵庫に手を伸ばすと不意に
「おはよう。」
とさっきまで後ろでよく寝ていたはずの渉の声がした。
美紀はちょっと驚いたが、
「おはようございます。」
と振り向くと、渉はよく眠れたという顔をしている。
「おはよう。こんなに早い?」
「そうなんだ。昨日寝る時に気づいたんだけど、今日からの現場もちょっと遠いんだ。」
「そう…。じゃさっさと朝ごはんを…。何かサッとできりものを」
美紀は、引っ越したことによって渉が日々働く現場が今までよりも比較的に遠くなったことに今更気づいた。
「今日はいいや、コンビニで買っていく!」
「ごめんね。」
「謝ることないよ。俺が言っておかなかったのが悪かったんだし、美紀も引っ越したばっかで大変だから。明日からご飯楽しみにするよ。」
「ううん。明日じゃないよ」
渉は怪訝な顔をする。
「楽しみにしてほしいのは今日の夕ご飯。」
渉はニコリとして
「そうだった。でも、荷物ほどいたりするのも大変だし無理するなよ。俺も次の休みに片付けちゃんとやるから」
「ありがとう。」
じゃあと片手を上げかけた渉に美紀は抱きついた。
渉は陽の渉をいっぱいあびているからか、お日様の匂いがする。
(大好き…)
「いくよ」
というのが彼の胸から響いてきた。
そういえば時間なかったんだっけ…。
「ご、ごめんね。」
慌てて渉から離れると、足元でみいちゃんがほのぼのと見上げていた。




