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キジトラの子
「あれ…猫ちゃん。」
梨沙が目を丸くしている。
愛子は、天ちゃんを抱き上げた。
「天ちゃんっていうの。」
「暫くぶりに猫飼ったの?」
正子は、達の猫嫌いを知っているからか、不思議そうな顔をしている。
「まあ、色々あってね。」
「カワイイ子だね」
ニャー、天ちゃんは返事をする。
「前のもキジトラだったよね?」
正子は懐かしむように言った。
「そうだっけ?」
愛子には、猫の種類は思い出せなかった。
「うん、キジトラの子供だった。」
正子は猫好きで、猫を3匹も飼っているので猫のこととなるとよく記憶しているようだ。
「ちっちゃくて、うろちょろしてた。ニャーって可愛かった。」
「そうそう、私が高校生の時だからもう7年くらい前ね。」
梨沙も加わった。
「キジトラの子猫だったよね。」
「そうそう」
場の雰囲気がちょっとおかしいことに正子親子は気づかないようだ。
なんとなくおかしな空気になっているところに、赤ちゃんが火がついたように泣き出したので、梨沙はあやしながらもう一度頭を下げて一同は帰っていた。




