みいちゃん…
2階に続く鉄の階段を上ると、端の部屋の前に猫が見えた。
「みいちゃん?」
近づこうとすると、空が光り轟音が轟いた。
美紀は思わず怯んだが、みいちゃんはびくともしないようだ。
美紀は、以前暮らしたアパートのドアの前にいるみいちゃんにたどり着くと、みいちゃんは美紀を見上げてニャーと言った。
美紀はみいちゃんを抱き上げた。
「みいちゃん、もうここに帰ってきても渉はいないの。渉はいないの…」
近くに雷が落ちた。
あの日と同じだ。
美紀は、涙が止まらなくなった。
あのひどい雨の日、渉をずっと待っていて、とても怖かった。
帰ってきた渉はぎゅっと抱きしめてくれた。あの時の体温を思い出すようだ。
でも、あの日はもう還らない。
「みいちゃん、渉はもういないの。渉はもういない。」
涙で濡れた美紀の顔をみいちゃんは不思議そうに見る。
いなくなってから心配で、ずっと探していたみいちゃんの顔を見たら、さらに泣けてきた。
「みいちゃんまでいなくならないで」
みいちゃんは、不思議そうな顔をして
「ニャー」と美紀の顔を見た。
あまりにも美紀が遅いからか、千佳さんがやってきた。
「みいちゃん、いたね」
千佳さんは喜んで美紀に抱きついてきた。
「ありがとう…」
千佳さんありがとう…。みいちゃんもみつかったし…もう大丈夫…。




