あの夜と同じ
そういえばまだ渉と一緒にいた頃大雨の日に雷が鳴った時、美紀の腕の中にダイブしてカタカタと震えていたっけ。
それを渉が美紀ごとギュッと抱きしめたっけ…。
美紀は千佳さんの車に乗り、みいちゃんが見つかるまでは雷が鳴り出さないことを祈った。
そんな願いは、すぐに打ち砕かれた。
遠くの空が光りだして、少し遅れて雷が鳴る音が耳に入ってきた。
みいちゃんが1人で怖い目に合ってませんように。
ただそれを祈るばかりだった。
車窓には見慣れた景色が飛び込んでくるようになった。
よく渉と2人で車に乗って通った道を走っている。
だんだんと渉と暮らしたアパートが近くなってきて、美紀は苦しさを感じた。
やがて雷だけではなく、大粒の雨がボツボツとフロントガラスに当たり始めた。
2人と1匹で暮らしたアパートの明かりが遠くに見え始めた。
あちらこちらまばらに電気がついている。
近づいていくと心が穏やかではなくなっていく…
でも、みいちゃんがみつからない限り…
美紀は息苦しさを感じ目を閉じた。
少しすると
「着いたよ。大丈夫?」
と、千佳さんの声がした。
「あたし行ってみようか?」
首を横に振った。
外は大雨だし、そんなわけにはいかない。
「ううん、自分で行く」
ひどく雷が鳴った。
美紀は車のドアを開けて、意を決して降りた。




