雷雨が来そう…
「みどりさん」
ここのパートの主ともいえる玲子さんがやってきて、緑をたしなめた。
「いや、大丈夫だよ。過去にそんなことがあったというだけの話だから。」
「ところで美紀さん引っ越してきてどれぐらいだっけ?」
玲子の突然の質問に美穂は意味を理解しかねた。
「1年半程です。」
「そう…。姉の所の猫は、引っ越して3ヶ月後位にもとの家に戻っちゃったことがあったの。
だから引っ越してからどっちなかったらそんなこともあるかな…と思って。でも1年、ちょっと時間が経ちすぎているから違うかもね。」
(猫は家に着く…そう言うもんね。)
何も知らない社長がにこやかに
「朝から井戸端会議に花がさくね」
と言って入ってきた。みんなの視線は冷ややか。
「悪い悪い、今更井戸端会議なんて言わないね。今日もよろしく頼むよ。今日までキャンペーンだからね」
「はーい」
みんなパラパラ返事をしながら持ち場に行こうとしている。
(渉と暮らしたアパートへ行ってみたらみいちゃんはいるのだろうか?)
ふと、そんな考えが頭に浮かんだが、やっと傷口に薄いかさぶたがはったところなので、それを剥がすような行為はしたくないと思う。
でももしかしたらみいちゃんはあのアパートに戻っているかもしれない…。
その日一日美紀は仕事が手につかなかった。
終業時間になると、いつも夏実を迎えに行くので、比較的早く帰る方だが、今日は終業時間前からタイムカードを押す前に控えていて時間になると、そこでタイムカードを押して即刻帰った。
いつも通り自転車で夏実を迎えに行き家に帰った。
家につくと、夕方電話で頼んでおいたので、家の前で千佳さんが待っていた。
「早かったね。」
「呼び出しちゃってほんとにごめんなさい」
「ごめんなさいなんて水臭い。家族がいなくなっちゃったんだからしょうがないよ。早く行こう。でもさぁ、さっきから変な雲が湧いて来ちゃったから、もしかしたら一雨くるよ。」
明らかに雲行きが悪い。
みいちゃんは雷が大嫌いだ。
外で雷に怯え1人で過ごすみいちゃんを想像すると胸が痛くなる。




