みいちゃんはどこ?
すべて落ち着いたのは21時を過ぎた頃だった。
美紀はもう一度家の中を見渡したが、みいちゃんはいなかった。
美紀は夏実を抱っこしてサンダルを履いて外へ出た。
外は街灯のあるところ以外は、暗くて舗装されていない道は、足元もおぼつかない感じだが、美紀は小走りで走った。
「みいちゃん」
みいちゃんが白猫や他の猫と遊んでいるところ、みいちゃんを時々見かけた木の下、みいちゃんが蝉を追っかけていた林の中…美紀は名前を呼びながら走ったが、みいちゃんのいる気配はなかった。
一晩中玄関のみいちゃんの通用口を開けたままみいちゃん待ったが、みいちゃんは帰ってこなかった。
憔悴しきった美紀が仕事へ行くと、よほど疲れきって見えたのか、同僚が声をかけてきた
「美紀さん、顔色が相当悪いけど大丈夫?」
「はい…。」
「何か心配事でもあるなら相談に乗るわよ」
桜さんは面倒見の良い男勝りのたくましい先輩だ。
みいちゃんがいなくなっちゃったんです。
「みいちゃん?」
「猫です」
「あー、猫ちゃんか。昔実家で飼ってた猫も、よくいなくなっちゃったんだけど、いつも大体3日ぐらいしたらふらふらと帰ってきたよ」
「猫ってそういうものよね。でも家の近くの猫は…」
傍で聞いていた緑さんがいいかけて止めた。
この人は悪い人じゃないが、いつも一言多くて災いを招くことが多い。
「近くの猫は?」
「いなくなって2日後に車にひかれて……。」
美紀は焦った。
迷子になって帰って来れないと言う可能性までは考えられなかったし、車にひかれてしまうなどと言う怖いことも全く考えていなかった。




