ついに達が…
幸い燃え易いものは周りに多くなく、達の放水で火はおさまった。
愛子の横で、猫が「ニャー」と鳴いた。
達が愛子に
「猫が教えてくれた」
と言った。
愛子は、猫に手を伸ばし
「ありがとう」
と言った。
猫は、その愛子の手に甘えるように体をこすりつけた。
愛子は、体勢を立て直し、猫を抱き上げた。猫はおとなしく抱き上げられた。
それを見ていた達は
「…盆栽も家も助かった…。もしその猫の飼い主がみつからなかったら、うちで飼おう。」
と言った。
「やったぁ。じゃあ、名前はテンちゃんね。」
愛子は地面から飛び上がる勢いで喜んだ。
「テンちゃん?」
「そう、天からの贈り物だから、テンちゃん。」
横にいた源蔵が
「さっきまで猫が嫌いだと言っていたのに、猫を飼うとはね。」
と笑った。
「そうね。でも、猫を飼うなら色々なものが必要になるわね。」
「…ああ…。明日迷い猫ポスター剥がしがてら買いにいくか。」
「そうしましょ。」
水を撒いた庭に小さな虹が出ていた。
愛子がテンちゃんを下に下ろすと、テンちゃんは濡れたところを避けてスキップするように庭を歩いていった。
その後源蔵さんが呼んだ消防車が到着し、現場を見て話を聞かれたりしてバタバタと忙しい時間を過ごしたが、愛子はウキウキしながらその日一日を終えた。
テンちゃんの周りのものは翌日買いに行く予定なので、軒下のたたきに段ボール箱を置いて中にふかふかな毛布を敷いた。




